2025年7月2日、米国食品医薬品局(FDA)は、中国発の製薬企業Dizalが開発した経口分子標的薬「Zegfrovy(一般名:スンボゼルチニブ)」を、特定の遺伝子変異を持つ非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対して加速承認しました。
スンボゼルチニブは、EGFRエクソン20挿入変異を有し、プラチナ製剤を含む化学療法が無効となった進行期または転移性の肺がん患者を対象としています。
本記事では、Zegfrovyの承認背景、臨床試験の成果、今後の展望、そして注意すべき副作用について、多角的な視点から解説します。
ZegfrovyのFDA承認と今後の可能性

- FDA承認の概要と背景
- 臨床試験WU-KONG1Bの成果
- Zegfrovyの副作用と使用上の注意点
- 今後の展開:一線治療への進出と競合の動向
FDA承認の概要と背景
ZegfrovyがFDAにより加速承認されたのは、主に治療選択肢が限られていた特定の肺がん患者層に対する新たな治療法を提供することを目的としています。
対象となるのは、EGFRエクソン20挿入変異を有し、プラチナ製剤を含む化学療法後に病状が悪化した、局所進行または転移性の非小細胞肺がん患者です。
これらの変異は標準的なEGFR阻害剤では効果が出にくく、治療が難しいとされてきました。
このため、Zegfrovyには「ブレークスルーセラピー指定」および「優先審査」など、FDAの迅速承認プログラムが適用されました。
また、Zegfrovyに適応する患者を正確に選別するためのコンパニオン診断として、「Oncomine Dx Express Test」も同時に承認されました。これにより、治療対象をより明確に絞ることが可能となります。
臨床試験WU-KONG1Bの成果
今回の承認は、国際的な第I/II相臨床試験「WU-KONG1B」の結果に基づいています。
この試験では、EGFRエクソン20挿入変異を有し、治療歴のある患者を対象に、Zegfrovyの有効性と安全性が評価されました。
試験の主な結果は以下の通りです:
| 評価項目 | 結果 |
|---|---|
| 投与量 | 200mg(1日1回、食事とともに経口投与) |
| 対象患者数 | 85人 |
| 全奏効率(ORR) | 46%(95%信頼区間:35~57%) |
| 奏効期間の中央値(DOR) | 11.1か月(95%信頼区間:8.2か月~評価不能) |
この結果からも分かるように、Zegfrovyは約半数の患者で腫瘍の縮小をもたらし、その効果も比較的長期間にわたって持続しています。これまでの治療で十分な成果が得られなかった患者にとって、有望な選択肢となる可能性が示されました。
Zegfrovyの副作用と使用上の注意点
Zegfrovyは有効性が確認されている一方で、複数の副作用についても明記されています。特に以下のような症状には注意が必要です。
- 間質性肺疾患(ILD)または肺炎
- 消化器系障害(下痢、吐き気など)
- 皮膚反応(発疹、かゆみなど)
- 眼の毒性
- 胎児毒性
これらの副作用の可能性があるため、治療中は医療機関による慎重な観察が求められます。安全性に配慮しながら、患者ごとの病状や体調に応じて投与の継続可否を判断する必要があります。
今後の展開:一線治療への進出と競合の動向
Dizal社はZegfrovyを、より早期の治療ラインへ展開する計画も進めています。現在進行中の「WU-KONG28」という第III相試験では、Zegfrovyが従来のプラチナ併用化学療法と比較されており、その有効性が検証されています。
もしこの試験で良好な結果が得られれば、Zegfrovyは初回治療(ファーストライン)での使用も視野に入り、より多くの患者が恩恵を受けられることになります。
ただし、競合も存在しています。ジョンソン・エンド・ジョンソンの抗体薬「Rybrevant(アミバンタマブ)」は、すでにEGFRエクソン20挿入変異に対する初回治療として承認されています。
Zegfrovyがこの市場でどこまでシェアを拡大できるかが今後の焦点となるでしょう。
米FDA、難治性肺がんに対する新薬「Zegfrovy」を加速承認
- Zegfrovy(スンボゼルチニブ)は、EGFRエクソン20挿入変異を持つ進行性NSCLC患者に対してFDAから加速承認を取得しました。
- 国際臨床試験では、全奏効率46%、奏効期間中央値11.1か月という成果が報告されています。
- 消化器・皮膚・肺・眼・胎児への影響など、注意すべき副作用も存在します。
- 第III相試験によって、今後は初回治療への適応拡大も視野に入っています。
- 同領域にはすでにRybrevantという競合薬も存在し、今後の市場競争にも注目が集まります。
出典・参照文献
Zegfrovy gets US nod for hard-to-treat lung cancer subset|Firstword Pharma
