Gilead Sciencesが開発した「Yeztugo®(レナカパビル)」が、米国食品医薬品局(FDA)によって正式に承認されました。
この新しいHIV予防薬は、半年に一度の皮下注射のみで高い感染予防効果を発揮することが特徴です。
製薬会社にとっては、長年の課題であった服薬継続のハードルを下げる革新的な選択肢として、今後の市場拡大と社会的インパクトが期待されます。
本記事では、Yeztugo®の臨床データ、承認の背景、普及に向けた課題と展望を詳しく紹介します。
Yeztugo®の概要と承認の意義

- 半年間有効な新しい予防法
- 圧倒的な有効性を示した臨床試験結果
- 幅広いアクセスを目指したGileadの取り組み
- 使用上のリスクと注意点
半年間有効な新しい予防法
Yeztugo®(一般名:レナカパビル)は、HIV-1の感染リスクを減らすために開発された新しいタイプの長期作用型PrEP(曝露前予防薬)です。従来のPrEPは毎日の服用が必要であり、服薬忘れやスケジュール管理が課題でしたが、Yeztugo®は半年に一度の皮下注射のみで済むため、これらの課題を大幅に解消できます。
このため、特に服薬の継続が困難だった層への普及が期待されており、アドヒアランスの向上がHIV感染率の低下に寄与すると考えられています。
圧倒的な有効性を示した臨床試験結果
FDA承認の根拠となったPURPOSE 1およびPURPOSE 2のフェーズ3試験では、Yeztugo®の予防効果が既存の経口薬を上回る結果が得られました。
PURPOSE 1では、2,134名の被験者の中でHIV感染者は一人も確認されず、PURPOSE 2でも2,179名中わずか2名にとどまりました。これは、99.9%を超える予防効果を示しており、既存のTruvada®(エムトリシタビン/テノホビル)と比較しても優れた成績です。
また、この結果を受けて、2024年には科学誌『Science』で「Breakthrough of the Year」に選ばれ、医学界でも大きな注目を集めました。
幅広いアクセスを目指したGileadの取り組み
Gileadは、Yeztugo®を必要とする人が経済的な負担なく利用できるよう、複数の支援策を進めています。商業保険加入者向けには自己負担を実質ゼロにできるCo-Pay Savings Programを提供し、未保険者には無償で薬を供給する制度を整備しました。
さらに、米国外でも迅速に承認を得るため、欧州医薬品庁(EMA)など各国当局への申請を進めています。南米やアフリカの一部地域では、現地の公衆衛生当局と連携して早期の承認と供給開始を目指しています。
こうした取り組みは、HIV感染者の多い地域での感染抑制にもつながり、グローバルなHIV対策の新たな柱となることが期待されています。
使用上のリスクと注意点
一方で、Yeztugo®には使用に際していくつかの注意点があります。特に、HIV感染が未診断の状態で使用すると、耐性ウイルスが発生する恐れがあるため、投与前および投与継続中の定期的なHIV検査が必須です。
加えて、注射部位の皮膚反応、頭痛、吐き気などの副作用が報告されていますが、重大な新しい安全性上の懸念は認められていません。
さらに、半年に一度という長期作用が逆にリスクとなり得る点も考慮が必要です。投与スケジュールを守らない場合、血中薬剤濃度が低下し、感染リスクが高まる可能性があります。このため、患者教育と医療者のフォローアップ体制が普及の成否を左右すると言えます。
参照:「Yeztugo® (Lenacapavir) Is Now the First and Only FDA-Approved HIV Prevention Option Offering 6 Months of Protection」|Businesswire
米国初の半年間持続型HIV予防薬「Yeztugo®(レナカパビル)」がFDA承認
- 米国で半年間持続するHIV予防薬として初めて承認された
- Gileadが開発した長期作用型のHIV-1キャプシド阻害剤
- PURPOSE 1試験では感染例ゼロを達成
- PURPOSE 2試験でも99.9%以上の予防効果を確認
- 既存の経口PrEPより高いアドヒアランスが期待できる
- 半年に一度の注射で服薬負担を軽減
- 耐性ウイルス発生リスクを避けるため定期検査が必須
- 投与部位反応や頭痛など軽度の副作用がある
- 米国内では保険適用で自己負担ゼロも可能
- 未保険者には無償提供プログラムを用意
- EMAなど各国当局への申請も進行中
- 世界的なHIV感染減少に貢献が期待される
- 次世代型、年1回投与型の開発も視野にある
- 価格設定は既存PrEPと同水準を予定
- 投与スケジュール遵守が普及拡大の鍵となる
