Vertex、CASGEVY®の長期効果をEHA 2025で発表|アクセス拡大の進展も報告

Vertex、CASGEVY®の長期効果をEHA 2025で発表|アクセス拡大の進展も報告 ニュース

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Vertex Pharmaceuticalsは、2025年7月に開催された欧州血液学会(EHA)において、同社が開発したCRISPR/Cas9遺伝子編集治療薬CASGEVY®の長期追跡データを発表しました。

発表された内容は、鎌状赤血球症(SCD)および輸血依存性ベータサラセミア(TDT)患者において、CASGEVYの臨床効果が長期間にわたって持続していることを裏付けるものでした。

加えて、Vertexは世界各国で償還契約を進めており、治療への国際的なアクセスが着実に拡大しています。

CASGEVY®の長期効果とグローバルアクセスの進捗状況

  • SCDにおける長期的な治療成果
  • TDTへの効果と持続性の検証
  • 安全性と副次的な臨床的改善
  • 各国におけるアクセス状況とカナダの課題
  • CASGEVYの仕組みと対象疾患の基礎知識
  • 今後の見通しと継続課題

SCDにおける長期的な治療成果

欧州血液学会で発表されたデータでは、SCD患者に対するCASGEVYの持続的効果が強調されました。追跡調査では、16か月以上の経過をもつ評価可能な45人中43人(95.6%)が、12か月以上にわたり血管閉塞性発作(VOC)を経験していませんでした。

さらに、入院を伴う重度のVOCに関しては、全員が12か月以上、発作による入院から解放されており、その平均期間は36.1か月に達しています。このような持続的な改善は、SCDの慢性的な症状や生活への影響を軽減する大きな可能性を示しています。

TDTへの効果と持続性の検証

TDT患者に対する臨床試験においても、CASGEVYは非常に高い治療効果を示しました。16か月以上の追跡を受けた55人中54人(98.2%)が、少なくとも12か月以上にわたり輸血を必要としない状態を維持しました。さらに、その平均期間は40.5か月と報告されており、長期にわたって症状のコントロールが可能であることがうかがえます。

評価対象となった唯一の患者も14.8か月にわたり輸血を回避できており、全体としての臨床的有効性の高さが際立っています。

安全性と副次的な臨床的改善

CASGEVYの安全性については、骨髄破壊的前処置(ブスルファン)および自家造血幹細胞移植に伴う既知の影響範囲にとどまっており、特段の懸念は報告されていません。

加えて、除鉄療法の終了が可能となった症例もありました。39人の患者では、治療後6か月以上が経過してもフェリチン値や肝鉄量が改善傾向を示しており、無効造血の修正による二次的な恩恵も期待されています。

各国におけるアクセス状況とカナダの課題

Vertexは、アメリカ、イギリス、オーストリア、サウジアラビア、UAEなどを含む複数の国々で、CASGEVYの償還に関する合意を得ています。この動きは、遺伝子治療へのアクセスを広げるうえで不可欠な取り組みといえます。

ただし、カナダでは依然として課題が残っています。CASGEVYに対しては、公的医療制度に関する評価機関から前向きな推奨が下されているものの、pCPA(pan-Canadian Pharmaceutical Alliance)からの正式な合意文書は発行されておらず、保険適用に向けた最終的な調整が求められています。

CASGEVYの仕組みと対象疾患の基礎知識

CASGEVYは、自家造血幹細胞を採取・編集し、BCL11A遺伝子の一部をCRISPR/Cas9技術により変異させる治療法です。この編集により、胎児期のヘモグロビン(HbF)の産生が促進され、SCDでは“鎌状”赤血球の形成を抑制し、TDTでは慢性的な貧血の改善が期待されます。

対象疾患のSCDとTDTはいずれも重度の遺伝性疾患であり、日常生活や寿命に大きな影響を与えることが知られています。従来の治療法では症状の緩和が限られていた中で、CASGEVYが提供する選択肢は革新的な意味を持ちます。

現在進行中のCLIMB試験(CLIMB-111, CLIMB-121, CLIMB-131)は、いずれも登録を終了しており、今後は最大15年間にわたる長期追跡が行われます。これにより、さらに信頼性の高いデータが蓄積される見込みです。

一方で、治療費や前処置のリスク、長期フォローアップの負担などの課題は依然として残されています。アクセス格差や持続可能な制度設計の検討も、今後の普及に向けて解決が求められる論点です。

Vertex、CASGEVY®の長期効果をEHA 2025で発表

  • CASGEVYはSCDおよびTDTにおいて、3年以上に及ぶ長期の臨床効果を示している
  • 安全性は既知の前処置プロセスと一致しており、大きなリスクは確認されていない
  • 副次的な恩恵として、除鉄療法の終了やフェリチン値の改善が観察されている
  • 世界各国で償還契約が進む一方、カナダでは制度上の調整が継続中
  • CASGEVYは遺伝子編集による根本的治療アプローチとして、対象疾患に新たな希望をもたらしている
  • 長期追跡と制度整備の進展が、今後の普及において鍵を握る

出典・参照文献

Vertex Presents Longer-Term Data at the 2025 European Hematology Association (EHA) Congress Demonstrating Durability of CASGEVY® and Provides Update on Expanding Global Access to CASGEVY|Vertex Pharmaceuticals PressRelease

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