SELLAS Life Sciencesは、再発または難治性の急性骨髄性白血病(AML)患者を対象とした第2相臨床試験において、開発中のCDK9阻害剤「SLS009(tambiciclib)」が主要評価項目をすべて達成したと発表しました。
本試験では、既存治療で反応が見られなかった患者においても高い奏効率および生存期間の延長が確認されました。これを受け、同社は2026年初頭に新規診断患者を対象とする無作為化試験の開始を計画しており、AML治療の第一選択肢としての展開が期待されています。
急性骨髄性白血病治療におけるSLS009の臨床成果と今後の戦略

ニュースのポイント
- 難治性AML患者における有効性
- 高リスク遺伝子を持つ患者での効果
- 副作用と安全性の検証結果
- 初期治療段階での臨床試験準備
- 精密医療への発展可能性
難治性AML患者における有効性
本試験は、AbbVieおよびRocheのVenclexta(venetoclax)を含む治療を受けたにもかかわらず、効果が得られなかったAML患者54名を対象に実施されました。
SLS009はvenetoclaxおよびazacitidineと併用され、5つの異なる用量レジメンが評価されました。
とりわけ、30mgを週2回投与する群において、奏効率(ORR)が40%を記録し、全体のORRは33%となりました。これは、事前に設定された20%という目標を大きく上回る結果です。
また、生存期間の面でも30mg週2回群で8.8ヶ月という中央値が確認され、既存治療の標準である2.4ヶ月を大幅に上回る成績となりました。
高リスク遺伝子を持つ患者での効果
SLS009の特徴は、遺伝的に不利とされる患者群においても高い反応が見られた点にあります。AML-MR(骨髄異形成関連変化)に分類された47名では、ORRが44%に達しました。
加えて、ASXL1変異を有する18名のうち半数が治療に反応しました。また、M4またはM5型に該当する患者群でも50%という反応率が確認されました。これらは、治療選択肢が限られる高リスク層にとって、有望な結果といえます。
副作用と安全性の検証結果
治療の有効性に加え、安全性に関する評価も極めて良好でした。全ての投与レベルで、SLS009の追加による毒性の上昇は見られず、用量制限毒性(DLT)も発生していません。
CDK9阻害剤としては特異性の高い設計により、毒性の抑制が実現されており、治療の継続性という観点でもメリットがあると考えられます。
初期治療段階での臨床試験準備
SELLASは、米国食品医薬品局(FDA)との協議を経て、SLS009を初期治療層に拡大する無作為化第3相試験を2026年第1四半期から開始する見込みです。
この試験では、venetoclaxとazacitidineの併用療法に効果が見込めないと判断された新規診断患者、または治療開始後2サイクルで効果が認められなかった患者を対象とします。こうした戦略により、病勢の進行や骨髄予備能の枯渇を未然に防ぐことが期待されます。
精密医療へのアプローチとがんセンターと連携
この新たな試験では、分子プロファイリングに基づいて治療対象を選定するアプローチが導入されます。これは、個々の患者の遺伝的背景を考慮し、最も高い反応が見込める患者に治療を集中させるという精密医療の考え方に則っています。
SELLASは、全米有数のがんセンターと連携しながら、ゲノムやトランスクリプトーム情報を用いた患者選定モデルの構築も進めています。
急性骨髄性白血病(AML)でSELLASのSLS009が第2相試験で主要評価項目達成
- SLS009は第2相試験でORRとmOSにおいて明確な臨床効果を示した
- 30mg週2回群でORR40%、mOSは8.8ヶ月に達した
- AML-MR患者では44%、ASXL1変異およびM4/M5型では50%の反応率を記録
- 既存治療の反応率や生存期間を大きく上回る結果となった
- 有害事象の増加やDLTは報告されず、安全性も高かった
- FDAは初期治療層に向けた臨床試験実施を支持
- 新規診断患者および治療開始直後に反応が得られない患者が対象となる予定
- 試験開始は2026年第1四半期を予定
- 精密医療戦略を導入し、個別化された治療の実現を目指す
- SELLASはAML領域における治療全体の改革を見据えている
