インビカファスプ・アルファがPD-1耐性の消化器がんに有望な効果を示す:ESMO GI 2025で最新データを発表

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マレンゴ・セラピューティクス社は、2025年7月2日にスペインで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO)消化器がん会議にて、同社の開発中薬「インビカファスプ・アルファ(Invikafusp alfa)」に関する最新の臨床結果を発表しました。

対象は、PD-1阻害剤に耐性を持つ高変異負荷(TMB-H)の消化器系がん患者であり、単剤療法としての有効性が示された点が注目されています。

この発表は、難治性がんの新たな免疫療法の可能性を示すものであり、マレンゴ社が掲げる「選択的T細胞活性化プラットフォーム」の中核を担う治療薬として、今後の展開が期待されています。

インビカファスプ・アルファの臨床成果と今後への期待

  • インビカファスプ・アルファとは何か
  • PD-1耐性消化器がんでの臨床成果
  • 安全性と副作用に関する報告
  • 医療現場・専門家からの反応
  • 今後の開発と展望

インビカファスプ・アルファとは何か

インビカファスプ・アルファ(開発コード:STAR0602)は、マレンゴ社が開発中の「ファースト・イン・クラス」と位置づけられる二重T細胞アゴニスト抗体です。

T細胞受容体(TCR)の中でもVβ6およびVβ10サブセットを選択的に活性化する構造を持ち、従来の免疫チェックポイント阻害薬では効果が見られなかった腫瘍にも作用が期待されています。

この治療薬の特徴は、単一分子でT細胞を選択的かつ持続的に刺激し、腫瘍に対する免疫応答を高める点にあります。

従来の免疫療法とは異なるアプローチで、非クローン性かつ多様なT細胞反応を引き出すことができるのが利点です。

また、同社のSTAR™プラットフォームを基盤とし、TCRの遺伝的変異を利用した精密な免疫活性化を可能にしています。

PD-1耐性消化器がんでの臨床成果

今回の発表では、STARt-001試験における最新のフェーズ1/2臨床結果が報告されました。この試験は、PD-1阻害剤に反応しない、かつ高変異負荷(TMB-H)の消化器がん患者17名を対象に行われたものです。

主な臨床結果(フェーズ2a時点)

指標数値
疾患制御率(DCR)63%(17人中11人)
腫瘍縮小率(Tumor Regression)53%
客観的奏効率(ORR)23%(17人中4人)

このうち、大腸がん(CRC)患者3名では、主要な分子サブタイプ(MSS RAS野生型、MSS RAS変異型、PD-1耐性MSI-H)すべてで反応が確認されました。

さらに、PD-1耐性の胃食道接合部がん(GEJ)患者においても客観的奏効が見られ、従来治療では難しかった領域で新たな可能性が示されました。

以上の結果から、インビカファスプ・アルファは、免疫療法が効きづらいとされてきた患者層に対し、新たな治療選択肢を提供しうる存在といえます。

安全性と副作用に関する報告

今回のフェーズ2a試験において、重篤な新規安全性シグナルは確認されませんでした。副作用は主に一過性であり、適切な支持療法により管理可能であったと報告されています。

この治療薬は、特定のT細胞のみを選択的に活性化するため、全身性の過剰な免疫応答を抑えつつ、がん細胞に対する免疫効果を維持できる点が特長です。そのため、副作用の面でも比較的良好なプロファイルを示しています。

医療現場・専門家からの反応

今回の発表に対して、複数の専門家がポジティブな見解を示しています。マサチューセッツ総合病院のアパルナ・パリク医師は、「これまで効果が限定的だった消化器がんの免疫療法において、まったく新しい仕組みの治療薬が登場した意義は大きい」と述べています。

また、マレンゴ社CEOのジェン・スー医師も、「さまざまな組織型・耐性型のがんに対し単剤で成果が見られた点は、当社の精密免疫療法プラットフォームの可能性を明確に示している」とコメントしています。

今後の開発と展望

マレンゴ社は現在、STARt-001試験のフェーズ2aの拡大コホートを進行中です。今後は大腸がんだけでなく、TMB-HまたはMSI-Hを持つ他の固形がんにも対象を広げ、より多くの患者に適応可能な治療薬としての確立を目指しています。

また、アメリカ食品医薬品局(FDA)によるファストトラック指定を取得しており、承認までの道のりが短縮される可能性もあります。今後の進捗次第では、近い将来、実臨床での使用が現実となるかもしれません。

インビカファスプ・アルファがPD-1耐性の消化器がんに有望な効果を示す:ESMO GI 2025で最新データを発表

  • インビカファスプ・アルファは、PD-1耐性がんに対して有望な免疫活性を示した新規治療薬です。
  • 臨床試験では、大腸がんや胃食道接合部がんなど複数のタイプで腫瘍縮小が確認されました。
  • 副作用は軽度かつ管理可能であり、安全性も高い水準を維持しています。
  • 専門家からも高い評価が寄せられており、今後の開発が期待されています。
  • FDAのファストトラック指定により、実用化が加速する可能性があります。

出典・参照文献

Marengo Presents Monotherapy Activity of Invikafusp Alfa, a First-in-Class Selective Dual T Cell Agonist in PD-1 Resistant GI Tumors, as a Late-Breaking Oral Presentation at ESMO Gastrointestinal Cancers Congress 2025|PR Newswire