リリーの経口GLP-1薬「オルフォグリプロン」第3相試験で高い効果と注射薬に匹敵する安全性と効果を確認

リリーの経口GLP-1薬「オルフォグリプロン」、第3相試験で高い効果と注射薬に匹敵する安全性を確認 ニュース

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イーライリリーが開発を進める経口GLP-1受容体作動薬「オルフォグリプロン」が、2型糖尿病患者を対象とした第3相試験で注射型薬剤と同等の安全性と優れた効果を示しました。

この結果は『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』に掲載され、アメリカ糖尿病学会(ADA)の年次総会でも発表されています。

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オルフォグリプロン第3相試験の成果と課題

  • オルフォグリプロンの概要と特徴
  • 試験結果が示す血糖値改善効果
  • 体重減少への影響と注目点
  • 副作用と安全性の評価
  • 今後の研究と期待される展開

オルフォグリプロンの概要と特徴

オルフォグリプロンは、これまで注射でしか投与できなかったGLP-1受容体作動薬を経口薬として提供する新しい治療選択肢として開発中です。

この薬は1日1回の服用で済み、食事や水分の制限が必要ない点が大きな特徴です。注射を避けたい患者にとって治療の負担を減らせる手段として注目されています。

試験結果が示す血糖値改善効果

ACHIEVE-1試験では、食事や運動だけでは血糖コントロールが難しい2型糖尿病患者559人が対象となりました。

オルフォグリプロンの3種類の用量をプラセボと比較した結果、40週後には平均1.3%から1.6%のHbA1c低下が確認され、プラセボ群のわずか0.1%を大きく上回りました。

さらに、投与開始4週目という早期から血糖値の改善効果が認められたことも特筆すべき点です。早い段階で治療効果が感じられることは、患者の継続意欲を高める要因となります。

体重減少への影響と注目点

オルフォグリプロンは血糖値の改善だけでなく、体重減少効果も持ち合わせています。

特に36mg投与群では40週後に平均7.9%(約7.3kg)の体重減少が見られました。体重減少は試験終了時点でも継続しており、さらなる減少が期待されています。

ただし、どの程度長期的に体重減少が維持されるかについては、今後のATTAIN試験などで確認する必要があります。

副作用と安全性の評価

安全性の面では、オルフォグリプロンは既存の注射型GLP-1薬と同等の結果が示されました。

多く報告された副作用は、下痢や吐き気、消化不良、便秘、嘔吐などの消化器症状で、主に用量を増やす時期に見られましたが、ほとんどは軽度から中等度の範囲でした。

用量を段階的に増やす方法を取り入れることで、こうした副作用を抑える工夫がされています。

治療中止率はプラセボの1%に比べて4%から8%とやや高めでしたが、重篤な低血糖や肝機能障害などの深刻な問題は報告されていません。

今後の研究と期待される展開

リリーは今後もオルフォグリプロンの追加試験を進める計画です。

SGLT2阻害薬であるダパグリフロジンや経口セマグルチドとの比較試験(ACHIEVE-2、ACHIEVE-3)が進行中で、肥満治療を目的としたATTAIN試験の結果も今年第3四半期に公表予定です。

これらの結果をもとに、2025年末までに肥満治療薬として、2026年には2型糖尿病治療薬としての承認申請を目指しています。

オルフォグリプロンが持つ可能性は、治療の選択肢をさらに広げる鍵となるでしょう。

リリーの経口GLP-1薬「オルフォグリプロン」、第3相試験で高い効果と注射薬に匹敵する安全性を確認のまとめ

オルフォグリプロンは注射を必要としない経口GLP-1薬として、2型糖尿病患者の血糖値管理と体重減少の両面で新たな可能性を示しました。

副作用の管理方法や長期的な有効性については引き続き注視が必要ですが、既存治療が抱える課題を補う選択肢として期待されています。

今後の追加データがさらなる評価を支えるでしょう。

  • オルフォグリプロンは1日1回の経口GLP-1受容体作動薬
  • 食事や水分の制限が不要で利便性が高い
  • 注射薬に代わる新しい治療選択肢となる
  • 第3相試験で血糖値を平均1.3%〜1.6%低下させた
  • 40週後に最大76%がHbA1c7%未満を達成
  • 早期に血糖値改善効果が現れる特徴がある
  • 最高用量群で体重を平均7.9%減少させた
  • 体重減少は試験終了時点でも継続中
  • 消化器系の副作用が多いが大部分が軽度から中等度
  • 用量を段階的に増やして副作用を抑制している
  • 副作用による治療中止率はやや高めだが深刻な問題なし
  • 肝機能障害や重度の低血糖は確認されていない
  • ダパグリフロジンや経口セマグルチドとの比較試験を進行中
  • 肥満治療を目的としたATTAIN試験の結果も予定されている
  • 2025年末に肥満治療薬、2026年に糖尿病薬として承認申請予定

参照:Lilly’s oral GLP-1, orforglipron, showed compelling efficacy and a safety profile consistent with injectable GLP-1 medicines|Lilly プレスリリース