Kezar Life Sciences社は、同社が開発する免疫プロテアソーム阻害薬「Zetomipzomib(KZR-616)」に関して、米国食品医薬品局(FDA)が自己免疫性肝炎(AIH)を対象とした第2a相臨床試験「PORTOLA」に対する一部臨床保留を解除したと発表しました。
今回の決定により、同社は次の臨床試験段階に向けた準備を進める方針です。
本記事では、Zetomipzomibの概要と、試験の経緯、今後の展望を詳しく解説します。
FDAが臨床保留を解除したZetomipzomibとは何か?

ニュースのポイント
- Zetomipzomibは自己免疫疾患に特化した新規治療薬候補
- PORTOLA試験に対するFDAの一部保留が正式に解除された
- AIH治療における新たな選択肢としての可能性が高まっている
- LN適応は依然として保留中だが、再開の可能性は残る
- Kezar社は次段階のAIH臨床試験設計に向けてFDAと協議予定
Zetomipzomibの作用機序と医療上の意義
Zetomipzomibは、Kezar Life Sciences社が開発中の新規かつ選択的な免疫プロテアソーム阻害薬です。自己免疫疾患に対して広範な抗炎症作用を持つことが前臨床研究により示されており、免疫抑制を伴わずに効果が期待できる点が注目されています。
また、既存の治療薬と異なり、慢性副作用のリスクが比較的低いことから、特に長期管理を必要とする難治性疾患に対して新たな選択肢となる可能性があります。すでに複数の臨床試験において、安全性と忍容性の高さも確認されており、今後の開発にも弾みがついています。
PORTOLA試験における保留の背景と解除までの経緯
PORTOLA試験は、Zetomipzomibを用いたAIH患者を対象とした第2a相臨床試験です。しかし、過去に関連する別の臨床試験(PALIZADE)で重篤な有害事象が発生し、FDAはAIHに関する試験についても慎重な姿勢をとりました。その結果、PORTOLA試験のうち、オープンラベル延長フェーズへの移行が制限される「部分的な保留」が課されていました。
今回、Kezar社が安全性データを包括的に提出したことにより、FDAはその内容を評価し、PORTOLA試験における制限を解除しました。これにより、残された患者群に対する追跡や、新たな治療段階への進展が可能となりました。
AIH治療における期待と課題
AIHは、自己免疫が肝臓を攻撃する慢性疾患であり、放置すると肝硬変や肝不全、肝細胞がんに進行する危険性があります。米国では約10万人が罹患しているとされ、女性に多い疾患です。
現在の標準治療はコルチコステロイドを中心とした免疫抑制療法ですが、糖尿病や骨粗しょう症、白内障などの深刻な副作用が伴います。そのため、副作用を軽減しながら疾患を抑制できる新しい治療薬が求められています。
Zetomipzomibは、そのような背景の中で、ステロイドに依存しない治療法として高い期待が寄せられています。特に再発予防や生活の質向上に貢献する可能性がある点が評価されています。
LNプログラムの現状と今後の見通し
一方で、Zetomipzomibのもう一つの適応症であるループス腎炎(LN)については、2024年に4名の死亡例を含む重篤な副作用が報告され、FDAにより完全な臨床保留が実施されました。これを受け、Kezar社はAIHへの集中に舵を切ることになりました。
ただし、Kezar社は独立したデータモニタリング委員会(IDMC)と協議を重ね、安全性評価を実施したうえで、LNに関する臨床保留の解除申請を検討中です。今後の動向によっては、LNにおいても再び開発が再開される可能性が残されています。
まとめ:米FDA、自己免疫性肝炎を対象としたZetomipzomib試験の一部臨床保留を解除
- FDAがPORTOLA試験の部分的な臨床保留を解除
- Zetomipzomibは選択的免疫プロテアソーム阻害薬
- AIHは長期管理が必要な自己免疫性肝疾患
- 現行治療は副作用が多く、代替療法が求められている
- Zetomipzomibはステロイド依存からの脱却が期待されている
- KezarはAIHに開発リソースを集中させている
- LN治療に関する臨床保留は依然として継続中
- IDMCの推奨を基にLN再申請も視野に入れている
- PORTOLA試験の継続により次段階への進展が可能に
- 治療安全性に関するデータが今後の鍵となる
