デプスインタビューとは?|製薬業界の市場調査の基礎

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デプスインタビューとは?

定義:デプスインタビューとは、調査対象者とインタビュアーが1対1の対話形式で、特定のテーマに関する深層心理や意思決定プロセスを深く掘り下げて解明する定性調査手法です。

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類義語・関連表現

  • 言い換え:インデプスインタビュー、1on1インタビュー、定性調査、デプス調査
  • 英語表記:In-depth Interview(略語:IDI)

市場調査での使われ方

市場調査においてデプスインタビューは、アンケートなどの定量調査では把握しきれない「なぜ?」という行動の背景や、消費者が言葉にしないまでも心に秘めている潜在的なニーズを探るために広く用いられます。

例えば、新商品のコンセプト評価や、ブランドが顧客に与えている真の価値を理解する際に活用されます。

特に専門性の高い業界では、その価値はさらに高まります。

製薬業界においては、新薬開発の戦略立案段階で、その領域の第一人者である医師、すなわちKOL(キーオピニオンリーダー)を対象に実施されます。治療方針を決定する際の思考プロセス、既存薬に対する具体的な評価、そして未だ満たされていない医療ニーズ(アンメットメディカルニーズ)などを深く探ることで、開発中の新薬の製品価値を最大化し、効果的な上市戦略を策定するための重要なインサイトを得ます。

実務での活用例

実務における活用例として、ある製薬企業が開発中のオンコロジー(がん)領域の新薬について、グローバルでの開発戦略を策定するケースを挙げます。

この企業は有望な初期臨床データを持っていましたが、既存の治療法が複雑に確立されている中で、この新薬が臨床現場でどのように受け入れられるか不透明でした。

そこで、米国・欧州・日本のオンコロジーのトップKOL10名を対象にデプスインタビューを実施。機密保持契約のもと、新薬のプロファイルと臨床データを提示し、「どのような患者に最も有効と考えるか」「既存薬との使い分けは」「上市に向けて克服すべき課題は何か」といった問いを投げかけ、1人60分かけて徹底的なインタビューを実施しました。

その結果、当初企業が想定していた患者層への適用ではなく、ニッチながらもアンメットニーズが極めて高い層に、圧倒的な価値を提供できるという強力なインサイトが得られました。

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FAQ:デプスインタビューに関するよくある質問

Q
アドバイザリーボード会議とデプスインタビューはどう違うのですか?
A

どちらもKOL(キーオピニオンリーダー)から意見を聴取する重要な手法ですが、目的と得られる情報の性質が根本的に異なります。

アドバイザリーボードでは、複数名のKOLが一堂に会し、特定のテーマについて議論する「グループ形式」です。主な目的は、参加者間の相互作用(グループダイナミクス)を通じて多様な意見を引き出し、あるテーマに対するコンセンサスや論点を探ることにあります。

一方、デプスインタビューは、インタビュアーとKOLが1対1で行う「対話形式」です。他者の意見に影響されない、個人の深い思考プロセスや意思決定の背景、言語化されていない本音などを徹底的に掘り下げることが目的です。

新薬のポジショニングについて幅広い意見が欲しい場合はアドバイザリーボード、個々の医師がなぜその治療選択をするのか、その根本理由を深く知りたい場合はデプスインタビューが適しています。

Q
多忙なトップクラスの医師(KOL)に、どうやってインタビューを依頼するのですか?
A

トップKOLへのリクルーティングは、高度な専門性と丁寧なアプローチが求められる、市場調査の中でも最も難易度の高い業務の一つです。

一般的には、製薬・医療分野に特化した調査会社の持つ専門パネルや、学会の名簿、過去のコンタクト履歴などを基に候補者リストを作成します。アポイントの依頼は、単なる一斉送信メールではなく、研究の意義や目的、なぜその先生にご意見を伺いたいのかを明記した上で、秘書の方などを通じて丁寧に行います。

また、KOLの多忙なスケジュールに最大限配慮し、早朝や夜間、週末といった柔軟な時間設定に対応することや、彼らの専門知識と時間に見合った適切な謝礼を提示することも不可欠です。成功の鍵は、相手への敬意を払い、粘り強く、かつ誠実なコミュニケーションを重ねることにあります。

Q
インタビュアーにはどのようなスキルが求められますか?
A

製薬業界のデプスインタビュー、特にKOLを対象とする場合、インタビュアーには一般的な傾聴力や質問力に加え、極めて高い専門性が求められます。

第一に、対象となる疾患領域の深い知識(治療の現状、主要な薬剤、臨床試験の基本的な考え方など)が不可欠です。KOLが話す専門用語を理解し、対等なレベルで議論できなければ、表面的な回答しか引き出せません。

第二に、専門家から本音を引き出す高度な対話スキルです。相手の意見に敬意を払いつつも、時には「なぜそのようにお考えですか?」と根拠を問いただし、思考を深掘りする能力が問われます。

最後に、グローバルな視点です。国や地域による診療ガイドラインや医療制度の違いを念頭に置いて質問を設計し、得られた意見を文脈に沿って正しく解釈する能力も大切です。インタビュアーは単なる聞き手ではなく、KOLの知見を最大限に引き出す「知識を持った対話のパートナー」でなければなりません。

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