EU、膀胱がんの新たな治療選択肢としてImfinziを初の周術期免疫療法として承認

Imfinzi approved in the EU as first and only perioperative immunotherapy for muscle-invasive bladder cancer ニュース

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アストラゼネカの免疫療法薬「Imfinzi(イミフィンジ、一般名:デュルバルマブ)」が、筋層浸潤性膀胱がん(MIBC)に対する周術期治療薬として、欧州連合(EU)で初めて承認されました。

今回の承認により、Imfinziは標準的な術前化学療法と併用され、その後、膀胱全摘出術後に単剤で継続投与されるという新たな治療戦略が臨床現場に導入されます。

これにより、再発や死亡リスクの低減が期待されており、長年治療の選択肢が限られていたこのがん種において、大きな進展と位置づけられています。

周術期免疫療法としてのImfinziの意義

市場調査 海外
  • 周術期Imfinzi療法の構成とその背景
  • NIAGARA試験で明らかになった有効性
  • 患者にとってのメリットと懸念点
  • 今後の展望と国際的な位置づけ

周術期Imfinzi療法の構成とその背景

Imfinziが欧州で承認された今回の治療戦略は、膀胱がん患者に対する新しいアプローチとなります。具体的には、手術前にシスプラチンおよびゲムシタビンと併用した後、手術後はImfinzi単剤で治療を継続します。このような「周術期治療」としての免疫療法導入は、MIBCの領域では初めての試みです。

従来、筋層浸潤性膀胱がんに対しては、術前化学療法を実施した後に膀胱を摘出するという治療が標準とされてきました。しかしながら、術後の再発率が約50%に上ることが知られており、より長期的な予後改善を目指す新たな治療法が求められていました。

Imfinziの導入は、このニーズに応えるものであり、がんの進行を抑制する免疫機構を手術前後で活性化させることで、再発防止や生存率の向上に寄与すると期待されています。

NIAGARA試験で明らかになった有効性

Imfinziの承認は、グローバル規模で実施された第III相臨床試験「NIAGARA」に基づいています。この試験では、1,063名のMIBC患者を対象に、Imfinzi併用療法と従来の化学療法単独群との間で、再発や死亡のリスクにどのような差があるかが検証されました。

試験結果では以下のような成果が示されています。

評価項目Imfinzi併用群化学療法単独群
2年時点の無イベント生存率(EFS)67.8%59.8%
2年時点の全生存率(OS)82.2%75.2%
再発・死亡・手術延期などのリスク減少率32%減(HR=0.68)
死亡リスクの減少率25%減(HR=0.75)

このように、Imfinziを組み合わせた周術期療法は、がんの進行抑制と延命効果の両面で優れた結果を示しました。

患者にとってのメリットと懸念点

Imfinziを周術期に投与する最大の利点は、再発のリスクを減らし、手術後の生存期間を延ばせる点にあります。治療の導入により、多くの患者が手術後も安定した経過をたどる可能性が広がります。

さらに、試験では安全性の面でも大きな懸念は見られませんでした。副作用は既知の範囲内で収まっており、治療の継続性や手術の実施に支障が出た例はほとんど報告されていません。

ただし、免疫療法特有の免疫関連有害事象(irAEs)が発生するケースもあるため、医療チームによる早期対応が求められます。また、全ての患者に適応可能というわけではなく、腎機能などに制約のあるケースでは慎重な判断が必要です。

今後の展望と国際的な位置づけ

Imfinziは、今回の膀胱がんへの適応を皮切りに、他のがん種への応用が次々と進められています。既に非小細胞肺がんや胆道がん、肝細胞がんなどでも承認されており、多様ながん種で治療の選択肢を広げています。

また、日本をはじめとする他国でも、今回と同様の周術期適応に関する申請が進んでおり、グローバルでの普及が進む可能性があります。

アストラゼネカは、免疫療法をがん治療の中心に据えることで、患者の長期的な生存を可能にする治療モデルの確立を目指しています。今後の臨床試験やリアルワールドデータを通じて、この治療戦略のさらなる有用性が検証されることが期待されます。

EU、膀胱がんの新たな治療選択肢としてImfinziを初の周術期免疫療法として承認

  • Imfinziは欧州で初めて周術期免疫療法としてMIBCに承認された
  • NIAGARA試験において再発・死亡リスクを大幅に低下させることが示された
  • 副作用は既知の範囲内で、手術の妨げにもならなかった
  • 今後は他国での承認や他のがん種への応用も期待される
  • 免疫療法による周術期治療は、新たながん治療の可能性を切り開く手段と考えられる

出典・参照文献

Imfinzi approved in the EU as first and only perioperative immunotherapy for muscle-invasive bladder cancer|AstraZeneca

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