IGMバイオサイエンシズは、長期的な戦略転換と複数の臨床的課題を経て、米バイオ投資会社コンセントラ・バイオサイエンシズによる買収に合意しました。
1株あたり約1.25ドルの現金と条件付き価値権(CVR)が提示されており、株主には一定の追加利益の可能性が残されています。買収は2025年8月に完了予定とされています。
ニュースのポイント
- IGMが買収に至った背景
- 買収条件の詳細と株主への影響
- コンセントラの戦略と他社買収事例
- 今後の見通しとまとめ
IGMバイオサイエンシズの買収決定とその背景

IGMが買収に至った背景
IGMバイオサイエンシズは、長らく免疫グロブリンM(IgM)を活用した抗体医薬の研究開発を進めてきました。
かつては腫瘍免疫に注力していた同社ですが、2024年には戦略の転換を図り、T細胞エンゲージャー技術を自己免疫疾患領域に適用する方針を打ち出しました。
しかし、主要候補であるimvotamabの第Ib相試験において、関節リウマチや全身性エリテマトーデスに対する有効性が期待を下回る結果に終わります。
その直後、提携先のサノフィが開発契約を打ち切ったことで、IGMは深刻な経営難に直面し、従業員の約8割をレイオフする事態となりました。
こうした一連の出来事を受けて、IGMは「戦略的選択肢」の模索を公表し、結果として今回のコンセントラによる買収へと至りました。
買収条件の詳細と株主への影響
今回の買収契約では、IGMの株主に対して1株あたり1.247ドルの現金が支払われる予定です。さらに、条件付きで2つの経済的権利(CVR)が設定されています。
条件付き価値権(CVR)の内訳:
- IGMが保有する純現金が8,200万ドルを超えた場合、その超過分の100%が株主に分配される
- 買収完了から1年以内に対象製品または知的財産の譲渡により得られた純収益の80%が配分される
これにより、一定条件を満たした場合、株主は現金支払い以上のリターンを得られる可能性があります。ただし、これらは将来的な不確実性を伴うため、投資判断に際しては慎重な見極めが求められます。
買収完了には、IGMが8,200万ドル以上の純現金を保持していることや、過半数株主の賛同など、いくつかの条件が存在します。これらが満たされれば、買収は2025年8月に完了する見通しです。
コンセントラの戦略と他社買収事例
コンセントラ・バイオサイエンシズは、低迷するバイオテク企業の買収を積極的に進めてきた投資企業です。2025年だけでも、IGMを含む4社の買収を発表しています。
2025年の主な買収対象:
| 企業名 | 特徴 |
|---|---|
| Allakos | アレルギー治療薬の開発に苦戦 |
| Kronos Bio | 腫瘍免疫領域での開発中止が続く |
| Elevation Oncology | パイプラインの収益化に至らず資金難 |
| IGM Biosciences | 自己免疫疾患への転換失敗とパートナー離脱 |
一方で、同社が狙っていた免疫系企業Acelyrinは、コンセントラの提案を拒否し、Alumisとの合併を選択しています。
これにより、バイオ業界内での再編と生き残り戦略が一層注目されています。
このように、コンセントラは財務的に厳しい企業に対して比較的低い価格での買収を進める手法を取っており、その動きには評価と懸念の両面があります。
今後の見通し
今回の買収が正式に完了すれば、IGMバイオサイエンシズはナスダック市場から姿を消すことになります。
その後の事業資産や知的財産の取り扱いについては、今後の発表を待つ必要があります。
株主にとっては即時の現金化とともに、条件次第で追加的な利益の可能性が残されているものの、それにはリスクも伴います。
加えて、バイオ業界全体としても、コンセントラのような投資主導型の買収が増えることで、短期的な事業価値ではなく、中長期的な臨床的成功を軸に据えた企業育成がますます難しくなる側面も考えられます。
参照
IGM Biosciences Enters into Agreement to Be Acquired by Concentra Biosciences for $1.247 in Cash per Share Plus a Contingent Value Right| IGM Biosciences プレスリリース
IGMバイオサイエンシズ、コンセントラ・バイオサイエンシズにより買収へ──現金+条件付き対価で合意
- IGMはimvotamabの不振と提携終了により経営危機に直面していた
- コンセントラによる買収は現金とCVRからなる構成
- 株主は一定条件下で追加収益のチャンスを得られる可能性がある
- コンセントラは他のバイオ企業も積極的に買収している
- 今後の買収完了とCVRの成果に注目が集まる
