バルセロナで開催された「ESMO GI 2025(欧州臨床腫瘍学会・消化器がん会議)」において、米国拠点のバイオ医薬企業I-Mab社は、同社が開発中の二重特異性抗体「Givastomig」の第1相b相試験に関する最新データを発表しました。
本試験では、Givastomigを免疫チェックポイント阻害剤であるニボルマブおよび化学療法mFOLFOX6と併用し、1次治療として未治療の進行性胃がん患者を対象に評価が行われました。
試験の結果、奏効率(ORR)が最大83%という高い数値を示し、Givastomigの安全性や有効性において大きな可能性が確認されました。
特に、低いPD-L1およびClaudin 18.2発現を有する腫瘍においても反応が認められた点は注目されています。
Givastomig第1相b相試験の概要と成果

- 高い奏効率を示した併用療法の有望性
- 多様な発現状態における有効性の確認
- 安全性と忍容性の評価結果
- 今後の展望と追加試験の進捗
高い奏効率を示した併用療法の有望性
今回の第1相b相試験は、Givastomigの有効性と安全性を初期段階で検証することを目的とし、計17人の米国人患者を対象に実施されました。
対象となったのはHER2陰性で、Claudin 18.2(以下、CLDN18.2)陽性の未治療進行胃がんまたは食道がん患者です。
データによると、試験全体における奏効率は71%(12/17)に達しており、中でも拡大用量として選定された8 mg/kgおよび12 mg/kgの群では、奏効率が83%(10/12)とさらに高い値を示しました。
このような結果から、Givastomigを用いた併用療法は、胃がんの一次治療として有力な選択肢となる可能性があります。患者の半数以上が治療を継続しており、最長治療期間は13.3か月に及んでいます。
多様な発現状態における有効性の確認
興味深い点として、奏効はPD-L1やCLDN18.2の発現レベルに依存しない形で認められました。これは従来の治療法では反応が得られにくい患者層にも効果が期待できることを意味します。
以下の表は、PD-L1およびCLDN18.2の発現状態別に見た奏効率(ORR)を示しています:
| 発現状態 | ORR(全体) | ORR(8/12 mg/kg) |
|---|---|---|
| PD-L1 ≥ 5 | 82% (9/11) | 89% (8/9) |
| PD-L1 < 5 | 50% (3/6) | 67% (2/3) |
| CLDN18.2 ≥ 75% | 67% (8/12) | 78% (7/9) |
| CLDN18.2 < 75% | 80% (4/5) | 100% (3/3) |
このように、CLDN18.2の低発現群であっても十分な治療効果が確認されており、対象患者層の拡大につながる結果といえます。
安全性と忍容性の評価結果
本試験では安全性に関する詳細な評価も行われ、Givastomigは概ね良好な忍容性を示しました。重篤な副作用の発現頻度は低く、特にグレード3以上の有害事象は限定的でした。
具体的には、Givastomigに起因すると判断されたGrade 3の副作用としては、肝酵素上昇、胃炎、腹痛などが個別に報告されただけに留まりました。また、G-CSFの使用制限により発生した好中球減少症も、現在は予防的措置の導入により管理可能とされています。
一方で、試験中に治療を中止した患者は全体の12%にあたる2名にとどまり、これは治療継続性の高さを示すデータと捉えられます。
今後の展望と追加試験の進捗
現在、I-Mabは第1相b相試験の用量拡大パートにおいて2つの追加コホートを実施中であり、すでに1つ目のコホートは予定より早く登録を完了しました。さらに、2025年7月8日にはバーチャル投資家向けイベントが開催され、これまでの成果と今後の戦略が改めて紹介される予定です。
Givastomigは、CLDN18.2を標的とし、腫瘍微小環境内でT細胞を活性化させる設計がなされていることから、今後は胃がんに限らず他の固形がんへの適応拡大も期待されています。
なお、GivastomigはABL Bio社との共同開発プロジェクトであり、I-Mabがグローバル市場における主導権を持ちつつ、さらなる国際展開が視野に入れられています。
I-Mab、Givastomig併用療法による胃がん第1相試験で高い奏効率を報告【ESMO GI 2025】
- I-Mabは、Givastomig併用療法により最大83%の奏効率を示す有望な初期データを発表しました
- PD-L1やCLDN18.2の発現に依存しない反応が観察され、対象患者層の拡大が期待されます
- 安全性についても概ね良好で、深刻な副作用の報告は限定的でした
- 現在進行中の用量拡大試験や将来の応用展開により、Givastomigは胃がん治療の新たな柱となる可能性を秘めています
