米KalVista Pharmaceuticalsが開発した新薬「Ekterly(一般名:sebetralstat)」が、遺伝性血管性浮腫(HAE)の急性発作に対する初の経口オンデマンド治療薬として、米食品医薬品局(FDA)の承認を受けました。
これにより、注射投与が必要だった従来の治療法に代わり、場所や時間を問わず素早く対処できる新たな治療の選択肢が提供されることになります。
本記事では、承認の背景や臨床データ、市場への影響について解説します。
Ekterly FDA承認の背景と意義

- Ekterlyの特長と既存治療の課題
- 臨床試験結果から見る有効性と安全性
- 市場展開の見通しと業界への影響
- まとめ:患者に与える変化と将来の可能性
Ekterlyの特長と既存治療の課題
遺伝性血管性浮腫(HAE)は、体のさまざまな部位に突然の腫れを引き起こす希少疾患であり、時に命の危険も伴います。これまで米国で承認されていたオンデマンド治療薬は、いずれも静脈もしくは皮下注射が必要で、発作時の準備や投与において患者に大きな負担がかかっていました。
このような状況において、Ekterlyは画期的な選択肢となります。錠剤として経口で服用できるため、注射器の用意が不要で、発作の兆候を感じた時点ですぐに服用が可能です。こうした利便性は、患者の生活の質向上や治療への心理的障壁の軽減につながると考えられます。
臨床試験結果から見る有効性と安全性
EkterlyのFDA承認は、国際的に実施された第3相KONFIDENT試験に基づいています。この試験では、12歳以上のHAE患者136名を対象に、プラセボと比較する形で有効性と安全性が検証されました。
試験結果によると、Ekterlyはプラセボに比べて症状の緩和が有意に早く、発作の重症度や持続時間も軽減されました。特に、服用までの中央値が10分、症状緩和の開始が平均1.6時間という迅速性が評価されています。
安全性についても、主な副作用は軽度の頭痛にとどまり、重篤な安全性上の懸念は確認されていませんでした。また、現実的な使用状況を再現したKONFIDENT-S拡張試験でも、一貫した有効性と安全性が報告されています。
市場展開の見通しと業界への影響
Ekterlyは2025年7月中旬から米国内で販売が開始される予定です。1回分の薬価は16,720ドルと発表されており、他の注射薬と比較して若干高めに設定されていますが、利便性の高さから市場への浸透が期待されています。
KalVista PharmaceuticalsのCEOであるBen Palleiko氏は、HAEオンデマンド治療市場が2030年までに70%成長し、12億ドル規模に達するとの見通しを示しています。また、調査会社TD Cowenは、Ekterlyの米国ピーク売上が7億5000万ドルを超えると予測しており、高い需要が見込まれています。
加えて、同社は現在、2~11歳を対象とした適応拡大試験や、欧州・アジアなど各国での承認取得にも注力しています。これにより、Ekterlyは今後、世界的なHAE治療の基盤薬となる可能性を秘めています。
まとめ:経口HAE治療薬「Ekterly」がFDA承認取得――初の服用型オンデマンド治療薬として注目
- Ekterlyは、HAEの急性発作に対応する初の経口オンデマンド治療薬として、FDAから承認を取得しました。
- 注射による治療に代わる選択肢となり、利便性の向上が期待されます。
- 臨床試験では、迅速な効果と高い安全性が示されており、医療現場での使用も想定されています。
- 今後は小児適応や国際展開が進むことで、さらに多くの患者が恩恵を受けることが見込まれます。
