2025年8月、米国食品医薬品局(FDA)はIonis Pharmaceuticalsが開発した「DAWNZERA(donidalorsen)」を承認しました。
対象は12歳以上の成人および小児で、遺伝性血管性浮腫(HAE)の発作を予防する目的で使用される薬剤です。
RNAを標的とした医薬品としてはHAE領域で初の承認事例であり、4週間または8週間ごとの自己注射による投与が可能となります。これは患者の生活における大きな負担軽減につながると期待されています。
この記事は25年の海外の市場調査の経験のあるInsights4 Pharmaの運営責任者前田が監修しております。読者にとって、疾患や治療薬について正確かつ理解しやすい情報源となることを目指しています。
FDA承認とDAWNZERAの特徴

- DAWNZERAの承認背景と臨床試験成績
- 投与方法と利便性について
- 有効性と安全性のデータ
- 他の治療法との違いと切り替えデータ
- 患者支援プログラムと今後の展望
DAWNZERAの承認背景と臨床試験結果
FDAは、再発性の腫れを伴う希少疾患である遺伝性血管性浮腫に対して、RNAを標的とした初の治療薬DAWNZERAを承認しました。
この疾患は手足や腹部、顔面、喉などに浮腫を生じ、重症化すると生命を脅かす可能性があるとされています。
第3相試験「OASIS-HAE」では、4週間間隔の投与で発作発生率がプラセボ群に比べて81%減少し、2回目以降の解析では87%まで改善が見られました。
さらに、24週間の期間で中等度から重度の発作は約90%抑制されたと報告されています。
この成績は、長期延長試験「OASISplus」によって裏付けられ、1年間で平均94%の発作減少が確認されました。これらの結果が承認の根拠となり、長期的な有効性と持続的な効果が示されたと考えられます。
投与方法と利便性について
DAWNZERAは80mgの自己注射製剤で、4週間ごとまたは8週間ごとに皮下投与できます。オートインジェクターを用いた投与であるため、患者は在宅で手軽に治療を継続でき、医療機関での頻繁な通院を避けられる点も評価されています。
この利便性は、日常生活において治療を続けやすくするだけでなく、他の予防薬と比較した際に差別化の要因になると考えられます。
従来の薬剤では週単位や隔週での投与が必要な場合も多く、投与間隔が長いことは患者の心理的・身体的負担を和らげる効果が期待されています。
有効性と安全性のデータ
臨床試験で得られたデータは以下の表に整理できます。
| 投与間隔 | 主要な効果 | 発作減少率 | 評価期間 |
|---|---|---|---|
| 4週間 | 発作頻度低下 | 81%(2回目以降87%) | 24週間 |
| 8週間 | 長期有効性維持 | 約94% | 1年 |
| 切り替え群 | 他の予防薬から移行 | 62%減少 | 16週間 |
安全性については、注射部位反応、上気道感染、尿路感染、腹部不快感といった副作用が5%以上の頻度で報告されています。
また、過敏症やアナフィラキシーのリスクがあるため、添付文書では禁忌や警告が明記されているとされています(出典:Ionis Pharmaceuticalsプレスリリース)。
他の治療法との違いと切り替えデータ
従来のHAE予防治療にはC1エステラーゼ阻害薬やlanadelumab、berotralstatなどがありました。しかし、DAWNZERAはRNAを標的とするという全く新しい作用機序を持ち、疾患の発症メカニズムに直接働きかける点が特徴です。
加えて、既存治療からDAWNZERAに切り替えた患者を対象にした試験では、16週間で発作頻度が62%減少したと報告されています。
さらに、84%の患者が従来の薬剤よりDAWNZERAを選好しており、その理由として病状の安定化や投与の簡便さ、注射部位の痛みの軽減が挙げられました。
これにより、臨床現場での実用性も高いと考えられます。
患者支援プログラムと今後の展望
Ionisは「Ionis Every Step」という包括的な支援プログラムを用意しており、保険承認の手続き支援や教育マネージャーによる相談対応、デジタルツール「DAWNZERA Direct」の提供などを行っています。
こうした取り組みは、治療を開始した患者が長期的に安心して療養を続けられるよう支援するための仕組みです。
DAWNZERAは承認から間もなく米国内での販売が開始される予定であり、希少疾患治療の領域で大きな注目を集めています。
Ionisは短期間に複数の独立製品を上市しており、RNA標的治療の分野で開発を加速させています。今後はさらなる適応拡大や他疾患への応用研究も期待されています。
よくある質問(FAQ)
- QDAWNZERAとはどのような薬ですか
- A
DAWNZERA(donidalorsen)は、Ionis Pharmaceuticalsが開発した遺伝性血管性浮腫(HAE)の発作予防薬です。米国食品医薬品局(FDA)により、12歳以上の成人および小児を対象に承認されました。RNAを標的とするHAE向けとしては初めての治療薬であり、プラズマプレカリクレイン(PKK)を抑制することで発作を防ぐ仕組みとされています。
- QDAWNZERAの投与方法と特徴は何ですか
- A
DAWNZERAは80mgの自己注射製剤で、オートインジェクターを用いて皮下注射します。投与間隔は4週間ごとまたは8週間ごとに設定でき、長い間隔で投与できることが大きな特徴です。臨床試験では発作の発生頻度を大幅に減少させ、1年間で平均94%の発作抑制が確認されています。
- QDAWNZERAを開発したIonis Pharmaceuticalsとはどのような企業ですか
- A
Ionis Pharmaceuticalsは米国カリフォルニア州カールスバッドに本社を置く製薬企業です。RNA標的型医薬品の開発を先導してきた企業であり、神経疾患や心血管疾患など幅広い分野で医薬品を開発しています。2025年には、家族性カイロミクロン血症症候群(FCS)向けのTRYNGOLZAに続き、DAWNZERAが同社にとって2つ目の独立承認薬となりました。
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米FDAがDAWNZERA(donidalorsen)を承認 遺伝性血管性浮腫に対する初のRNA標的型予防治療薬のまとめ
- 2025年8月にFDAがDAWNZERAを承認
- 遺伝性血管性浮腫における初のRNA標的薬
- 投与は自己注射で4週または8週ごと
- 第3相試験で81%の発作減少を確認
- 投与2回目以降の解析では87%に改善
- 延長試験で1年間94%の発作抑制が報告
- 中等度から重度の発作も大幅に抑制
- 切り替え群では62%の追加発作抑制
- 多くの患者がDAWNZERAを選好した結果
- 注射部位反応や感染症が主な副作用
- 重度の過敏症リスクがあるため注意が必要
- 投与間隔が長く生活の負担軽減に寄与
- 他治療と異なる作用機序で新規性が高い
- 包括的な患者支援プログラムを導入
- RNA医薬の開発加速が今後の展望となる
参照リンクと公式サイト
- DAWNZERA™ (donidalorsen) approved in the U.S. as first and only RNA-targeted prophylactic treatment for hereditary angioedema|Ionis Pharmaceuticalsプレスリリース
- FDA承認書「Dawnzera (donidalorsen) に関する承認通知」, 2025年8月21日発行, U.S. FDA
- ClinicalTrials.gov 登録情報(NCT05139810:「OASIS-HAE」試験
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