現在、精神科領域において大きな注目を集めているのが「統合失調症に伴う認知機能障害(CIAS)」です。幻覚や妄想といった従来の症状とは異なり、記憶力や集中力、判断力の低下といった認知面の障害は、患者の社会復帰や生活の質に深刻な影響を与える要因として課題視されています。
こうした背景の中、「統合失調症に伴う認知機能障害 最新レポート 市場動向」に関する新たな調査が発表され、治療薬開発や将来の市場予測、主要パイプライン(BI-425809、RL-007、ALTO-101など)に注目が集まっています。これらの開発品が認知機能改善に本格的に貢献すれば、2034年に向けた市場規模の拡大が期待されます。
本記事では、CIASの定義や最新の疫学データ、新薬の承認状況といった基礎知識に加え、注目すべき治療候補の特徴を網羅的に解説します。今後の事業戦略や市場参入の参考として、最新レポートの概要を把握したい方はぜひご一読ください。
記事のポイント
統合失調症に伴う認知機能障害(CIAS)の概要と影響
2034年までの市場規模予測と成長要因
BI-425809、RL-007、ALTO-101など主要開発薬の特徴
現在の治療薬開発状況と新薬の承認動向
| タイトル | 統合失調症に伴う認知機能障害:市場インサイト・疫学・市場予測(~2034年) |
| 原題 | Cognitive Impairment Associated with Schizophrenia – Market Insight, Epidemiology, and Market Forecast – 2034 |
| 出版日 | 2025年Q1 |
| 発行会社 | DelveInsight |
| ページ情報 | 135ページ |
| 納期 | お問い合わせください |
| ライセンス/価格 | 詳細はお問い合わせください |
| 日本における総代理店 | グローバルインフォメーション株式会社 |
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統合失調症に伴う認知機能障害に関する最新レポートと市場動向を紹介

統合失調症に伴う認知機能障害とは
統合失調症に伴う認知機能障害(CIAS)は、記憶や注意力、判断力、処理速度といった脳の働きに関わる幅広い領域での機能低下を指します。これらの障害は、幻覚や妄想といった陽性症状よりも早期に現れ、病状が安定していても長期間にわたり持続する傾向があります。
この障害の原因は、神経発達の異常や遺伝的要因、環境要因などが複雑に絡み合っているとされ、特にシナプスの機能異常や前頭前野の神経活動の変化が関与していると考えられています。これにより、患者は社会生活や就労、学業に支障をきたすことが多く、症状の重さに関わらず生活の質を大きく損ないます。
治療に関しては、現時点でCIASに対する特定の承認薬は存在せず、主に抗精神病薬や認知リハビリテーションなどの非薬物療法が活用されていますが、十分な効果が得られにくいことが課題です。
市場規模 予測 2034年の見通し
CIAS市場は今後10年間で大きな成長が期待されており、2023年の約9億4810万米ドルから、2034年にはさらに拡大する見通しです。年平均成長率(CAGR)は8.9%と予測されており、これは精神疾患治療領域としては比較的高い成長率に位置づけられます。
その背景には、該当疾患の認知度の向上と診断件数の増加が挙げられます。さらに、複数の製薬企業によって有望な新薬が開発段階にあり、それらが承認されれば市場の活性化が加速すると考えられています。
また、既存治療が十分な効果をもたらしていないことから、患者や医療機関における新たな治療選択肢への期待も高まっており、市場拡大を後押ししています。
治療薬開発の動向と課題
CIASの治療薬開発は現在も進行中であり、多くの企業が革新的な作用機序をもつ候補薬の臨床試験に取り組んでいます。特に注目されているのが、認知機能に関与する神経伝達物質を標的とした薬剤群です。
一方で、課題も依然として多く存在します。CIASに特化した有効なバイオマーカーが乏しく、評価指標の確立が難航している点や、臨床試験におけるプラセボ効果の大きさなどが挙げられます。また、認知改善というアウトカム自体が非常に個人差の大きい領域であるため、試験設計には高い専門性が求められます。
つまり、科学的なエビデンスを積み上げつつ、柔軟かつ精度の高い臨床戦略が求められているフェーズだと言えるでしょう。
パイプラインにおける主要開発品
現在、CIASの治療候補として注目されている主要開発品には、iclepertin(BI-425809)、RL-007、ALTO-101の3剤があります。いずれも中枢神経系のシナプス伝達や神経可塑性に関与する新規メカニズムをもっています。
iclepertinはグリシントランスポーター1阻害薬で、グルタミン酸受容体の活性を高めることで認知機能の向上を目指します。すでに第3相試験に進んでおり、FDAからはブレークスルーセラピー指定を取得しています。
RL-007は、GABAとニコチン受容体の調整作用を併せ持つ経口薬で、記憶や実行機能の改善効果が期待されており、現在第2相後期の検証段階にあります。
ALTO-101は、PDE4阻害薬を経皮吸収型で開発したもので、副作用の抑制と治療効果の両立を狙った設計です。2024年から第2相試験が始まっており、今後のデータに注目が集まります。
新薬の承認状況と期待される変化
現時点ではCIASに対するFDA承認薬は存在しません。しかし、複数の候補薬が後期臨床試験に進んでいることから、今後数年以内に初の承認薬が登場する可能性が高まっています。
特に、iclepertinはその先頭を走る存在であり、2026年の上市が見込まれています。この薬が市場に登場すれば、長年続いてきた「根本的治療不在」という状況に一石を投じると考えられます。
一方で、実臨床での効果や安全性、保険償還の範囲など、課題も残されており、薬価やアクセス面の整備が今後の普及に大きく影響します。
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統合失調症に伴う認知機能障害の最新レポートからみる市場動向に影響を与える開発品

BI-425809:グリシントランスポーター阻害薬
BI-425809は、ドイツの製薬企業ベーリンガーインゲルハイムが開発している経口タイプの新薬で、グリシントランスポーター1(GlyT1)を標的としています。この分子は、統合失調症に伴う認知機能障害(CIAS)の根本的な認知改善を目的とした画期的な治療薬候補です。
GlyT1を阻害することで、脳内のNMDA受容体の活性が高まり、シナプス可塑性や記憶力の改善が期待されます。すでに第2相試験で有望な結果を出しており、現在は第3相試験「CONNEXプログラム」が進行中です。
この治療薬は、FDAからブレークスルーセラピー指定を受けており、2026年には発売が見込まれています。CIASにおける初の本格的な認知改善薬として、市場の大きな転換点になる可能性があります。
RL-007:GABA系を標的とした新薬
RL-007は、Recognify Life Sciences(Atai Life Sciences傘下)が開発中の経口薬で、GABA-B受容体系とニコチン性アセチルコリン受容体を調整する作用を持つ化合物です。
この薬剤は、神経伝達を通じてシナプスの可塑性を高め、記憶力や実行機能の向上を目指しています。2021年に実施された第2相a試験では、安全性と認知機能に対する改善効果が報告されており、現在は第2相b試験が進行中です。
従来の抗精神病薬では十分に改善されなかった認知症状に対して、新たな作用機序を提示している点で注目されています。今後の臨床試験結果が市場の期待を左右するでしょう。
ALTO-101:経皮薬の革新と開発進捗
ALTO-101は、Alto NeuroscienceとMEDRxが共同開発している経皮吸収型の治療薬です。PDE4(ホスホジエステラーゼ4)を阻害することで、脳内のcAMPレベルを上昇させ、神経の可塑性と認知機能を高める効果が期待されています。
特筆すべきは、経皮デリバリーシステム(TDS)を採用している点です。経口薬よりも副作用が少なく、安定した薬物血中濃度が得られる利点があります。2024年4月に第1相試験で良好な結果が得られ、同年6月には第2相試験が開始されています。
このように、新たな投与経路と作用機序を組み合わせた治療薬として、将来性のある候補です。結果次第では、治療選択肢の幅を大きく広げる可能性があります。
疫学データに見る地域別の傾向
CIASの患者数は世界的に増加傾向にあり、地域によって患者分布に大きな違いが見られます。DelveInsightによると、2023年時点での7か国(米国、EU4、英国、日本)合計での診断済みCIAS患者数は約300万人に上り、そのうち米国が52%と最多を占めています。
一方で、EU4および英国は全体の33%、日本は15%を構成しています。各国の人口や診断体制、医療アクセスの違いがこの差を生んでいます。
特に米国では、既存治療に対する不満とニーズの高まりが市場成長を促進しており、新薬の上市が市場全体の規模拡大につながると見られています。
このように、地域ごとのニーズと患者数の把握は、製薬企業にとって開発戦略の重要な指針となります。
統合失調症に伴う認知機能障害の市場動向に関するおすすめ最新レポート紹介のまとめ
- 統合失調症に伴う認知機能障害(CIAS)は記憶、注意、処理速度など広範な認知機能に影響する
- CIASは陽性症状に先行して現れることが多く、長期にわたり持続する傾向がある
- 病因には遺伝、神経発達異常、環境要因などが関与する複合的なメカニズムがある
- 2023年時点でのCIAS市場規模は約9億4810万ドルである
- 2034年までに年平均成長率8.9%で市場拡大が見込まれている
- 現時点でCIASに特化した承認治療薬は存在しない
- 認知リハビリテーションなどの非薬物療法が一部で利用されている
- BI-425809(iclepertin)はGlyT1阻害薬で第3相試験が進行中
- RL-007はGABA系とニコチン受容体を調整し記憶や実行機能を改善する
- ALTO-101は経皮型のPDE4阻害薬で、2024年に第2相試験を開始した
- iclepertinはFDAのブレークスルーセラピー指定を受けている
- プラセボ効果の影響やバイオマーカー不足が臨床開発の課題である
- 地域別では米国がCIAS患者数の52%を占め、市場の中心となっている
- EU4および英国で33%、日本で15%の患者分布が確認されている
- 今後数年以内に初のCIAS治療薬が承認される可能性が高まっている

