米バイオテクノロジー企業Allogene Therapeuticsは、同社が開発する同種CAR-T細胞療法「Cemacabtagene ansegedleucel(Cema-cel)」に関連する臨床試験「ALPHA3」において、治験参加者の死亡が発生したことを発表しました。
この事態を受けて、同社は前処置に用いていた抗CD52抗体「ALLO-647」の使用を中止し、標準的な前処置法であるフルダラビンおよびシクロホスファミド(FC)のみに切り替える方針を決定しています。
本記事では、この方針転換に至った経緯や、Cema-celの今後の治験計画、企業の戦略について詳しく解説します。
ニュースのポイント
- 治験中の患者死亡とその背景
- ALLO-647投与中止の決定と理由
- Cema-celをめぐる今後の治験体制
- 新たな技術「Dagger®プラットフォーム」の活用
- 今後のスケジュールと企業コメント
「Cema-cel」の治験中に死亡例、Allogeneが治験方針を転換

- 治験中の患者死亡とその背景
- ALLO-647投与中止の決定と理由
- Cema-celをめぐる今後の治験体制
- 新たな技術「Dagger®プラットフォーム」の活用
- 今後のスケジュールと企業コメント
治験中の患者死亡とその背景
2025年、Allogene Therapeuticsが進めるALPHA3試験において、Cema-celを投与された患者が治療開始から54日後に肝不全で死亡しました。
死因は同社が開発した抗CD52抗体「ALLO-647」による免疫抑制により、アデノウイルスの全身感染が引き起こされたとみられています。
この死亡例は、同種CAR-T療法であるCema-celそのものには直接関与していないとされており、前処置に用いられたALLO-647との関係が強調されています。
Allogene社は過去の臨床試験でもウイルス感染は稀だったと報告していましたが、今回の症例は免疫抑制のリスクを再認識させる事態となりました。
ALLO-647投与中止の決定と理由
この死亡事例を受け、AllogeneはALLO-647を含む前処置(FCA法)による新規患者の登録を中止することを決定しました。
この判断は、米国食品医薬品局(FDA)や独立のデータモニタリング委員会(DSMB)との協議の上で行われています。
これまでALLO-647は、Cema-celの拒絶反応を防ぎ、効果の持続性を高める目的で使用されていました。
しかし、免疫抑制による感染リスクというデメリットが、期待された治療上の利点を上回る可能性があるとの判断に至ったと考えられます。
Cema-celをめぐる今後の治験体制
Allogene社は、前処置にALLO-647を用いない標準的なFC法(フルダラビン+シクロホスファミド)を正式に採用し、治験を継続する方針を示しました。
これによりALPHA3試験は、FC前処置後にCema-celを投与する群と、治療介入を行わずに経過観察のみとする群の二群で進められます。
この変更により、治験の安全性は高まる一方で、Cema-cel単独の効果をより明確に評価できる構造になったともいえます。
また、前処置の簡略化により、外来での治療実施が可能となるなど、実用面でも利便性が増すと期待されています。
新たな技術「Dagger®プラットフォーム」の活用
Allogeneは今後の開発戦略として、「Dagger®」と呼ばれる独自技術の導入を進めています。この技術は、従来のような免疫抑制を伴う前処置を必要とせず、より安全かつ簡便にCAR-T細胞療法を提供することを目指しています。
現在、この技術は進行性腎細胞がんを対象とした「ALLO-316」や自己免疫疾患への応用を目指した「ALLO-329」などの治験で活用されています。
Dagger®により、治療の敷居が下がり、より多くの患者に迅速に届く可能性が高まると考えられています。
今後のスケジュールと企業コメント
ALPHA3試験では、2026年前半に主要評価項目である微小残存病変(MRD)の転換率に関する中間解析が予定されています。
現在、アメリカおよびカナダにおいて50以上の治験施設が試験に参加しており、地域医療機関と大学病院の両方が協力しています。
Allogene社のCEOであるDavid Chang氏は、「患者を失ったことは深い悲しみであり、心から哀悼の意を表したい」と述べつつも、「この決断が、より多くの患者に治療を届けることにつながると信じている」としています。
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同種CAR-T療法「Cema-cel」の治験中に死亡例、Allogeneが治験方針を転換
- ALPHA3試験中に死亡した患者は、ALLO-647の影響で免疫抑制状態に陥ったとされる
- Cema-celそのものが死亡に関与したとは考えられていない
- ALLO-647の使用は中止され、標準的なFC前処置に一本化された
- 治験は二群比較の形式で継続され、観察群との比較が行われる
- FC法は外来での投与が可能であり、治験参加のハードルが下がる
- 同社はDagger®技術を用いた次世代療法の開発を加速している
- ALLO-316やALLO-329などのパイプラインでもDagger®が活用されている
- 治験の主要評価項目の解析は2026年前半に予定されている
- 治験施設は米国とカナダを中心に50ヵ所以上に拡大している
- CEOは患者への哀悼を述べるとともに、治験継続の重要性を強調した
