米バイオ企業Jasper Therapeuticsは、慢性特発性じんましん(CSU)に対する抗KIT抗体「briquilimab」の臨床試験Phase 1b/2aに関する最新データを公表しました。特定の投与群では高い有効性が確認されましたが、製剤ロットの問題により一部データの信頼性に疑義が生じています。本記事では、試験結果の詳細と今後の開発計画について整理します。
briquilimab試験の最新動向と今後の展望

- 有効性を示したシングルドーズコホートの結果
- 信頼性に疑義が生じた複数回投与コホートの問題
- 今後の臨床開発計画と経営面での対応
有効性を示したシングルドーズコホートの結果
BEACON試験Phase 1b/2aでは、briquilimabを240mgまたは360mgの単回皮下注射で投与した被験者群において、非常に高い臨床効果が確認されました。具体的には、両コホートに登録された9名中8名(89%)がUAS7スコアで完全奏効を達成し、その多くは2週以内に明確な症状改善を示しています。
さらに、180mgを8週ごとに投与するオープンラベル延長試験でも、11名中8名(73%)が12週時点でUAS7スコア0を達成しました。これらの結果は、briquilimabがCSU患者に対して迅速かつ持続的な疾患コントロールを提供する可能性を示しています。
また、安全性に関しても、好中球数の一時的な低下は観察されたものの、全例で自然回復し、重篤な副作用は報告されていませんでした。
信頼性に疑義が生じた複数回投与コホートの問題
一方で、240mgを8週ごとに投与する群および240mgから180mgへと切り替える継続投与群では、briquilimabの効果が明確に確認できませんでした。これは、これらのコホートで使用された製剤ロットの品質に問題があった可能性があると同社は報告しています。
該当の13名中10名は、同一の不具合が疑われるロットから供給された製剤を使用しており、そのうちの多くでトリプターゼ値の減少が限定的であり、UAS7スコアの改善もみられませんでした。
これに対し、別のロットから供給されたbriquilimabを使用した2名の被験者では、いずれも完全奏効が確認されています。このことから、製剤ロットの違いが治療効果に大きな影響を与えた可能性が高いと考えられます。
現在、Jasper Therapeuticsは該当ロットの詳細な調査を進めており、その結果は今後数週間以内に判明する見込みです。
今後の臨床開発計画と経営面での対応
製剤ロットによる試験結果のばらつきを是正するため、Jasper Therapeuticsは影響を受けた2つのコホートに対して、新たに10〜12名の被験者を追加登録する方針を示しました。この再評価により、Phase 2b試験の投与設計に必要なエビデンスを補完する狙いです。
ただし、この対応により、当初2025年第4四半期に予定されていたPhase 2b試験の開始は2026年半ばに延期されることになりました。
さらに同社は、喘息を対象としたETESIAN試験および重症免疫不全(SCID)プログラムの開発中止を発表しました。これに加えて、人員削減を含むコスト削減施策にも着手しており、briquilimabのCSU領域への集中投資を強化する姿勢を明確にしています。
このような施策は、限られた資金リソースの中で開発継続を可能にするための現実的な対応といえます。
Jasper Therapeutics、CSU治療薬「briquilimab」のPhase 1b/2a試験結果を発表|一部コホートにロット不具合
- briquilimabは単回投与コホートで高い治療効果を示し、安全性も良好だった。
- 一部の複数回投与群では、製剤ロットの問題により効果が不明確となった。
- 信頼性のあるデータ確保を目的に、該当コホートに追加登録が行われる予定。
- Phase 2b試験の開始時期は2026年中頃に延期され、喘息など他の開発は中止に。
- 今後の焦点は、追加試験の結果とbriquilimabの製品品質管理体制に移ると考えられる。
