BMSが支援する新型抗体薬「iza-bren」、鼻咽頭がんで第III相試験の主要目標を達成

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中国のバイオ医薬企業である四川百利天恒薬業と米国の大手製薬企業ブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMS)が共同開発を進めている抗体薬物複合体(ADC)「iza-bren(イザブレン)」が、再発または転移性鼻咽頭がんに対する第III相臨床試験で主要評価項目を達成しました。

本剤はEGFRとHER3を同時に標的とする世界初の二重特異性抗体ADCとして注目を集めており、今回の結果はその有効性を示す初の大規模エビデンスとなります。

この臨床試験結果を受けて、iza-brenの今後の開発や承認申請の動向、さらには投資家への影響にも注目が集まっています。以下では、今回の試験概要や今後の展望、注意すべきリスクについて詳しく解説します。

iza-brenの臨床試験結果と今後への期待

市場動向 新薬開発
  • iza-brenの第III相試験「BL-B01D1-303」の概要
  • BMSとの提携と巨額契約の背景
  • 開発中の他のがん種と治療適応への広がり
  • 臨床成功の一方で考慮すべき課題と注意点

iza-brenの第III相試験「BL-B01D1-303」の概要

今回、主要評価項目を達成した第III相試験「BL-B01D1-303」は、PD-1/PD-L1抗体による治療歴があり、さらに少なくとも2種類のプラチナ製剤を含む化学療法を受けて効果が見られなかった再発または転移性鼻咽頭がんの患者386名を対象に実施されました。

試験は2023年末に開始され、およそ18か月後となる2025年半ばに中間解析の結果が開示されました。

ここで明らかになったのは、iza-brenが治療抵抗性を示すこのような進行がん患者に対しても臨床的な効果をもたらす可能性があるという点です。

この結果は、iza-brenが既存治療の選択肢が限られていた患者群に新たな治療機会を提供する可能性を示唆しています。

BMSとの提携と巨額契約の背景

BMSは2023年12月、中国企業であるSystImmune(Biokinの米国法人)とiza-brenの中国以外での開発および商業化を対象とする契約を締結しました。

この契約には8億ドルの前払い金が含まれ、全体の契約額は最大84億ドルに達する見込みです。

さらに、契約には以下のようなマイルストーン支払いが含まれています。

条件支払金額期限
米国での第II相または第III相試験の開始(1・2次治療)2.5億ドル2025年末まで
第III相試験の開始(1次治療)2.5億ドル2026年末まで

これにより、BMSはADC領域での影響力をさらに強化しつつ、今後の上市および売上に対しても大きな期待を寄せています。

開発中の他のがん種と治療適応への広がり

iza-brenは現在、中国と米国を中心に40以上のがん種を対象とした臨床試験が進行中です。

中でも、BMSが注力しているのは以下の2つの開発領域です。

  • アストラゼネカのTagrisso(オシメルチニブ)やメルクのKeytruda(ペムブロリズマブ)との併用療法を用いた固形がん治療(第I/IIa相)
  • トリプルネガティブ乳がんやER-low/HER2陰性乳がんを対象とする第II/III相試験「IZABRIGHT-Breast01」

このように、多様な腫瘍種への応用可能性を探ることで、iza-brenの市場規模は今後さらに拡大していくことが予想されます。

臨床成功の一方で考慮すべき課題と注意点

一方で、今回の中間解析結果だけでは、上市に至る保証とはなりません。中国国内での薬品承認においても、最終的な承認にはすべての臨床試験の完了と、国家薬品監督管理局の審査を経る必要があります。

また、ADCという技術自体が極めて高い技術力と長い開発期間を要するため、以下のような不確定要素も依然として存在します。

  • 薬品の商業化までの時間的遅延
  • 規制変更による審査・承認の遅れ
  • 臨床試験の進捗に左右される追加マイルストーンの実現可否

まとめ:BMSが支援する新型抗体薬「iza-bren」、鼻咽頭がんで第III相試験の主要目標を達成

  • 抗EGFR×HER3の新型ADC「iza-bren」は、再発・転移性鼻咽頭がんの第III相試験で主要評価項目を達成しました。
  • 試験は中国の四川百利天恒と米国のBMSによる共同プロジェクトであり、BMSは最大84億ドル規模の契約を締結しています。
  • iza-brenは40以上の臨床試験で複数のがん種に対する有効性を検証中であり、治療領域の拡大が見込まれています。
  • ただし、薬品の上市には最終的な審査と承認が必要であり、現時点では不確定要素も残っています。
  • ポテンシャルは高く、今後の進展が医薬品業界全体に大きな影響を与える可能性があります。

出典・参照文献

BMS-backed bispecific notches Phase III win in nasopharyngeal cancer|Firstword Pharma