Cogent Biosciencesは2025年7月、非進行型全身性肥満細胞症(Non-Advanced Systemic Mastocytosis:NonAdvSM)を対象とした治験「SUMMIT試験(Phase II)」の結果を公表しました。
経口チロシンキナーゼ阻害剤であるbezuclastinibは、主要評価項目および全ての副次評価項目において、統計的に有意な改善を示しました。
今回の発表は、同社が年内に予定している米国食品医薬品局(FDA)への新薬承認申請(NDA)に向けた重要なステップと位置付けられています。
この記事では、試験結果、安全性の検証、既存薬との比較などを解説します。
SUMMIT試験結果が示すbezuclastinibの可能性
- bezuclastinibの臨床的有効性とその根拠
- 安全性と忍容性のバランス
- 競合薬との比較と今後の展望
bezuclastinibの臨床的有効性とその根拠
SUMMIT試験は、NonAdvSMの患者207名を対象に、bezuclastinibとプラセボを比較して24週間の治療効果を評価しました。主な指標である症状の総合スコア(Total Symptom Score:TSS)は、bezuclastinib群で平均24.3ポイントの減少を示し、プラセボ群(15.4ポイント減)と比較して、8.91ポイントの差が得られました(p=0.0002)。
さらに、副次評価項目の一つである血清トリプターゼ値においても顕著な結果が報告されました。bezuclastinibを投与された患者の87.4%が、血中トリプターゼ濃度を50%以上低下させたのに対し、プラセボ群では該当者が一人もいませんでした。このような改善は、症状緩和だけでなく、疾患の根本に作用している可能性を示唆しています。
また、他の評価項目でも優位性が確認されており、特にKIT D816V変異の割合や骨髄中の肥満細胞凝集の減少においても、明確な差が得られました。
安全性と忍容性のバランス
NonAdvSMは慢性疾患であるため、治療薬には長期使用への耐性と安全性が求められます。bezuclastinibは、そうした条件にも十分応える結果を示しました。
治験中に発生した重篤な有害事象(Serious Adverse Events:SAEs)は、bezuclastinib群で4.2%、プラセボ群で5.0%と、大きな差は見られませんでした。治療中止につながった有害事象は5.9%で、主に肝酵素(ALT/AST)の上昇によるものでしたが、いずれの症例も自然に回復しています。
一方で、以下のような軽度な副作用も報告されています。
- 髪の色の変化(69.5%)
- 味覚異常(23.7%)
- 吐き気(22.0%)
- 肝酵素の上昇(22.0%)
いずれの症状も軽度で、管理可能な範囲に収まっており、慢性疾患への継続投与にも適していると評価されています。
競合薬との比較と今後の展望
NonAdvSM治療においては、Blueprint Medicinesのavapritinib(商品名:Ayvakit)がすでに市場に出ています。avapritinibは、進行型および軽度な全身性肥満細胞症の両方でFDAの承認を得ています。
bezuclastinibも同じくKIT D816V変異を標的とした治療薬ですが、SUMMIT試験により、患者報告ベースの症状改善と客観的なバイオマーカー両面で明確な優位性を示しました。
さらに、安全性と忍容性の面でも良好な結果が得られており、新たな標準治療薬として期待される立ち位置を確保しつつあります。
なお、Cogent Biosciencesは、現在進行中の他試験にも注力しています。消化管間質腫瘍(GIST)を対象としたPEAK試験、および進行型全身性肥満細胞症(AdvSM)を対象としたAPEX試験のトップライン結果も、2025年後半に公表予定です。これらの結果次第では、bezuclastinibの適応拡大や市場競争力の強化が一層進む可能性があります。
Cogent BiosciencesのBezuclastinibが非進行型全身性肥満細胞症を対象としたPhase II試験で全評価項目を達成
- bezuclastinibはPhase II試験で全評価項目において統計的有意性を達成
- 症状スコアや血中バイオマーカーにおいてプラセボ群と明確な差を示した
- 重篤な有害事象は少なく、安全性は管理可能な範囲にとどまった
- FDAへの承認申請は2025年内を予定
- Blueprint Medicinesのavapritinibに続く、新たな治療選択肢として注目されている
