睡眠時無呼吸症候群(OSA)は、世界中で数億人が罹患する深刻な睡眠障害でありながら、その多くが診断も治療もされずに放置されています。
これまでの治療法は機器を用いた持続的気道陽圧(PAP)療法や外科的処置に限られてきましたが、Apnimed社が開発する経口剤AD109が新たな選択肢として注目されています。
今回、ApnimedはAD109の第2フェーズ3試験「LunAIRo」のポジティブな結果を発表しました。本記事では、その臨床試験の内容、得られた知見、そしてAD109が持つ今後の可能性について詳しく解説します。
睡眠時無呼吸症候群(OSA)でAD109が第2のP3試験で好結果を示す|新時代を切り開く可能性

- AD109の効果と臨床試験の概要
- 多様な患者層で示された有効性
- 安全性と忍容性の評価結果
- 今後の承認と市販化に向けた展望
AD109の効果と臨床試験の概要
AD109は、これまで存在しなかった“飲むだけ”のOSA治療薬として開発されました。本薬は、上気道の筋緊張を高めることで睡眠中の気道閉塞を防ぎ、呼吸を安定させる仕組みを持っています。
LunAIRo試験では、OSAを有しながらPAP療法に耐えられない、あるいは拒否している成人660名を対象にAD109またはプラセボを投与。26週時点で、AD109群は平均で46.8%のAHI(無呼吸低呼吸指数)改善を示し、プラセボ群の6.8%と比較して有意差が認められました。この結果は、以前のSynAIRgy試験とも一致しており、再現性の高い効果が示された形です。
また、52週終了時にもその効果は持続しており、AD109の長期的な有効性が裏付けられています。
多様な患者層で示された有効性
LunAIRo試験に参加した患者は、性別や人種、体格など多様性に富んでいました。このような現実的な患者層においても、AD109の効果は一貫しており、治療効果の一般性が強調されます。
加えて、病状改善率も高く、週26時点で45.0%、週51で47.5%の患者においてOSAの重症度が改善。AHIが5未満となった“完全コントロール”状態に達した患者も2割以上存在しました。これにより、AD109は軽症から重症まで幅広い患者に対して治療効果をもたらす可能性があると示唆されます。
安全性と忍容性の評価結果
AD109は一般的に良好な忍容性を示しており、試験中に薬剤に関連する重篤な副作用は報告されていません。発現した有害事象の多くは軽度または中等度で、従来のPAP療法に見られる不快感や装置の煩わしさとは無縁です。
このため、現在治療を拒否している患者層にも受け入れられる可能性が高く、治療の裾野が大きく広がることが期待されています。
今後の承認と市販化に向けた展望
Apnimed社は、今回のLunAIRo試験と前回のSynAIRgy試験の成果をもとに、2026年初頭に米国FDAへの新薬承認申請(NDA)を行う予定です。これが承認されれば、世界初となるOSAに対する経口治療薬が誕生することになります。
これまで複雑な機器や外科的手法に依存していたOSA治療が、1日1回の服用で可能となることで、患者の生活の質(QOL)の向上に寄与するだけでなく、治療開始のハードルも大幅に下がると見込まれます。
また、Apnimedは既にパートナーシップや商業体制の準備にも着手しており、発売後の迅速な普及に向けた体制も整いつつあります。
睡眠時無呼吸症候群(OSA)でAD109が第2のP3試験で好結果のまとめ
- AD109は世界初のOSA向け経口薬として開発された
- 第2のフェーズ3試験「LunAIRo」でAHIを平均46.8%改善
- 試験には現実的な患者層が広く含まれた
- 軽症から重症まで効果を示し、再現性も高い
- 副作用は軽度〜中等度で、深刻な事例は報告されていない
- PAP療法が苦手な患者にも受け入れられる可能性がある
- 2026年初頭にFDAへの申請を予定
- 市場投入後、治療選択肢の幅が大きく広がる見込み
- 治療開始のハードルが下がることで診断率向上も期待される
- Apnimedはパートナー戦略も視野に入れた展開を予定
