ペムビドチド、MASH治療における24週間試験で有望な結果 – Altimmuneが第2b相試験の中間成果を発表

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2025年6月26日、Altimmune社は、肝疾患MASH(代謝異常関連脂肪性肝炎)に対する治療薬「ペムビドチド」の第2b相臨床試験(IMPACT試験)におけるポジティブな中間結果を発表しました。

今回の発表は、同剤が短期間でMASHの改善と体重減少を同時に達成したことを示すもので、今後の治療選択肢に大きな影響を与える可能性があります。

一方で、期待されていた一部の効果が統計的に有意とならなかった点もあり、市場からは厳しい反応が寄せられています。

記事のポイント

  • ペムビドチドは、24週でMASHの改善と体重減少を同時に実現し得る治療薬として注目
  • 線維化改善に関する主要評価項目では統計的有意性を満たせず、AI分析による補足が必要
  • 忍容性や安全性は非常に高く、長期治療にも適応可能な特性が確認
  • 今後の第3相試験や追加データにより、競合他社のGLP-1受容体作動薬との比較がより明確になることに期待
  • 現時点では「有望だが課題も残る」という評価が妥当であり、今後の臨床開発の行方が注目

試験結果が示すペムビドチドの可能性と課題

市場動向 新薬開発
  • MASH改善効果の検証
  • 繰り返し見られた体重減少効果
  • 繊維化改善効果とAI分析の役割
  • 安全性と忍容性の評価
  • 今後の展望と治療領域における位置付け
  • まとめ:試験結果から見える期待と現実

MASH改善効果の検証

今回の試験では、212名のMASH患者を対象に、週1回の皮下注射でペムビドチド1.2mgまたは1.8mgを24週間投与した結果が分析されました。

中間報告では、MASHの解消(肝線維化を悪化させることなく病変を改善すること)において、1.2mg投与群で59.1%、1.8mg群で52.1%の参加者が効果を示しました。

これはプラセボ群の19.1%と比較して、明確に優れた結果です。

これらの成果は、ペムビドチドがMASHの治療候補として大きな可能性を秘めていることを示唆しています。ただし、この結果だけでは全体像を判断できません。

というのも、もう一つの主要評価項目である「線維化の改善(MASHの悪化を伴わないもの)」においては、1.2mg群で31.8%、1.8mg群で34.5%と、プラセボの25.9%と比較して明確な優位性は示されませんでした。

したがって、病態改善の全体的な有効性を判断するには、さらに長期的かつ多角的な分析が必要となります。

繰り返し見られた体重減少効果

ペムビドチドのもう一つの注目点は体重への影響です。24週間の投与で、1.2mg群は平均5.0%、1.8mg群では6.2%の体重減少を達成しました。

いずれもプラセボの1.0%に対して統計的に有意な差が認められており、肥満を合併するMASH患者にとっては有用な効果と考えられます。

特筆すべきは、この体重減少の傾向が24週時点でも減速を見せていなかった点です。これにより、今後の長期治療においてもさらに高い減量効果が期待できる可能性があります。

繊維化改善効果とAI分析の役割

一方、前述の通り、標準的な評価指標では繊維化の改善に統計的な有意差は確認されませんでした。ただし、補足的なAIベースの解析では、1.8mg群の30.6%が60%以上の線維化改善を示すなど、プラセボとの明確な差が見られました。

また、非侵襲的検査(ELFスコアやVCTE)においても、プラセボと比較して有意な改善が観察されています。

これらの結果は、AIの補助により新たな治療効果の検出が可能になることを示しており、今後の臨床試験や承認審査において重要な位置を占めることになるかもしれません。

安全性と忍容性の評価

治療薬の効果だけでなく、安全性や副作用も評価において不可欠です。ペムビドチドの24週間投与では、重篤な副作用は認められず、治療中止に至った割合も1.8mg群で1.2%、1.2mg群では0.0%と極めて低い水準に抑えられました。

一方で、プラセボ群でも2.4%と高くはないものの、ペムビドチドの方が良好な忍容性を示したことは、治療継続の観点から見て大きな意味を持ちます。

特に、MASH治療において長期的な投与が必要となる場面では、安全性の高さが評価されやすい要素となります。

今後の展望と治療領域における位置付け

Altimmune社は、今回の中間解析の結果を踏まえ、2025年第4四半期にFDAとのフェーズ2終了時ミーティングを予定しています。今後、より長期間のデータによって線維化改善の有意性が明確になれば、他のGLP-1系薬剤との競争においても有利な立場を築く可能性があります。

ただし、今回の試験結果を受けて市場は楽観的とは言えない反応を示しました。株価は一時大きく下落し、投資家の期待が高かった分、繊維化改善での未達が影響したと見られます。これにより、今後の開発戦略では、より明確なエビデンスの積み上げが求められます。

参照記事

Altimmune Announces Positive Topline Results From The IMPACT Phase 2b Trial Of Pemvidutide In The Treatment Of MASHAltimmune社プレスリリース

ペムビドチド、MASH治療における24週間試験で有望な結果

  • ペムビドチドはMASHの改善で統計的有意な効果を示した
  • 投与24週時点で最大59.1%がMASH解消を達成
  • 線維化改善の効果は統計的には有意とならなかった
  • AI解析により高用量での線維化大幅改善が確認された
  • ELFやVCTEといった非侵襲的検査でも改善が見られた
  • 体重減少は最大6.2%と高い水準で持続傾向を示した
  • 肝脂肪の大幅な減少もMRI-PDFFで証明された
  • 副作用による治療中止率は非常に低く抑えられた
  • 重篤な有害事象は報告されていない
  • 投与群での血糖コントロールは維持された
  • GLP-1/グルカゴン二重作動薬としての特性が発揮された
  • 株価は繊維化効果への期待未達で大きく下落した
  • Altimmuneは年内にFDAとの会合を予定している
  • 長期治療での繊維化改善が今後の鍵となる
  • 他社GLP-1薬との差別化にはさらなる証拠が必要