大塚製薬のPTSD治療薬「brexpiprazole」の有効性に疑問符?7月18日にFDA諮問委員会が審議へ

承認・申請

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2025年7月18日、米国食品医薬品局(FDA)は向精神薬諮問委員会(Psychopharmacologic Drugs Advisory Committee, PDAC)を開催し、大塚製薬が申請中のPTSD(心的外傷後ストレス障害)治療薬「brexpiprazole」について審議を行います。

sertralineとの併用を前提としたこの治療法は、先行研究において一部有望な結果を示した一方で、主要な臨床試験における結果の不一致が指摘されており、承認の可否に大きな注目が集まっています。

PTSD治療薬「brexpiprazole」のFDA審議動向と争点

市場動向 新薬開発

ニュースのポイント

  • 臨床試験で見られた結果の不一致とは
  • FDAが指摘する中間試験の限界と懸念点
  • 承認可否がもたらす今後の影響

臨床試験で見られた結果の不一致とは

今回の審議の対象となるのは、大塚製薬が開発中のbrexpiprazoleという抗精神病薬です。この薬剤は、SSRIであるsertralineと併用することでPTSDの症状改善を図るものですが、FDAが事前に公表した資料では、2件の第III相試験における「矛盾する結果」が注目点として挙げられました。

具体的には、最初の試験では416名のPTSD患者を対象に、brexpiprazole(2~3mgの可変用量)+sertralineの群と、プラセボ+sertralineの群で比較したところ、主要評価項目であるCAPS-5(Clinician-Administered PTSD Scale)において、10週時点で統計的に有意な改善が見られました。

しかしながら、2つ目の試験では553名を対象とし、brexpiprazole(2mgまたは3mgの固定用量)+sertralineとプラセボ+sertralineを比較した結果、ほぼ差が見られず、統計的な有意差を示すことができませんでした。この結果が、薬剤の一貫した有効性を示すうえでの大きな障害となっています。

FDAが指摘する中間試験の限界と懸念点

大塚製薬は、これらの第III相試験を補完する目的で、中間段階の第II相試験の結果も申請資料に含めています。ところが、この試験は当初、探索的な設計で行われたものであり、複数の治療群を用いて各成分の効果を検討する形式が採られていました。

FDAのスタッフはこの試験について、「統計的および方法論的な課題がある」との見解を示しています。特に、事後解析では、brexpiprazole+sertralineがsertraline+プラセボよりも統計的に優位とされましたが、元々の事前設定に基づく階層的解析では統計的有意性に届かなかった点が問題視されています。

このような背景から、PDACの委員らは、「1件のポジティブな第III相試験のみで、否定的な試験結果と不明確な中間試験の限界を乗り越えられるのか」という根本的な問いに直面することになります。

承認可否がもたらす今後の影響

現在の状況では、brexpiprazoleのPTSDに対する新たな適応追加が認められるかどうかは不透明です。仮に承認された場合でも、根拠となるデータの一貫性や信頼性に疑問が残る可能性があります。

この薬剤は、2014年に大塚製薬が約35億ドルで買収したAvanir Pharmaceuticalsの資産として導入され、すでに「Rexulti」としてアルツハイマー型認知症に伴う易怒性治療に使用されています。今後、PTSDへの適応が認められれば、新たな市場展開につながる反面、安全性や医療上の判断基準について慎重な運用が求められます。

一方で、今回の審議では市販後の実地使用に先立ち、薬剤の評価に対する透明性や科学的根拠の信頼性確保が大きな課題となっています。このため、審査の結果次第では、今後の精神疾患治療薬の開発戦略全体にも影響を及ぼす可能性があります。

大塚製薬のPTSD治療薬「brexpiprazole」の有効性に疑問符:FDA諮問委員会が審議へ

  • FDAが大塚製薬のPTSD治療薬brexpiprazoleを対象に諮問委員会を開催
  • 審議の中心はsertralineとの併用療法に関する有効性の検証
  • 第III相試験の一方では効果が見られたが、もう一方では効果が示されなかった
  • 第II相試験は方法論上の問題があり、信頼性に疑問が残る
  • FDAスタッフは試験結果の一貫性と統計手法に懸念を示している
  • PDAC委員は1件の成功例で承認可否を判断できるか問われている
  • Rexultiは既にアルツハイマー治療で承認済みの薬剤
  • PTSD適応が追加されれば市場拡大が見込まれる
  • 一方で、安全性や実用上の指針の整備が必要とされる
  • 今回の審議結果は今後の精神科領域の新薬開発にも波及する可能性がある

出典・参照文献

July 18, 2025: Meeting of the Psychopharmacologic Drugs Advisory Committee Meeting Announcement|FDA
Ahead of adcom for Otsuka’s PTSD drug, FDA flags conflicting pivotal results|Firstword Pharma

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