ELEVIDYSの副作用問題でSareptaが約500人を削減、siRNA開発へ軸足移行

ELEVIDYSの副作用問題でSareptaが約500人を削減、siRNA開発へ軸足移行 戦略・商談

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米バイオ企業Sarepta Therapeuticsは、遺伝子治療薬ELEVIDYSを投与された非歩行のDuchenne型筋ジストロフィー(DMD)患者において、肝不全による死亡が発生したことを受けて対応を強化しています。

これに伴い、製品ラベルに黒枠警告が追加され、非歩行患者への出荷は一時停止されました。

同時に、同社は年間4億ドルのコスト削減を目的とした大規模なリストラを実施し、約500人の従業員削減に踏み切ることを発表しました。

今後は、より長期的な安定収益が見込めるsiRNA技術を中核に据え、開発パイプラインの再構築を進めるとしています。

ELEVIDYSの安全性対応とSareptaの事業再構築戦略

ニュースのポイント

・非歩行患者へのELEVIDYS投与で肝不全による死亡が発生
・米FDAの指示によりラベルに黒枠警告を追加
・コスト削減と収益性向上を目指し36%の人員を削減
・将来の中核はsiRNAによる神経・呼吸系治療に

ELEVIDYSに関する死亡事例とラベル変更

ELEVIDYS(delandistrogene moxeparvovec)は、DMDに対する画期的な遺伝子治療薬として2023年に米国で承認されました。しかし、最近非歩行患者において深刻な肝障害が発生し、2名が死亡したことが報告されています。これらの症例では、急性肝不全の発症後まもなく致命的な転帰を迎えており、治療との関連が強く疑われています。

米FDAはこれを重く見て、ELEVIDYSの製品ラベルに「急性肝障害および急性肝不全」のリスクについての黒枠警告(boxed warning)の追加を要請し、Sareptaもこの対応に同意しました。これにより、ラベル上の情報は他のAAVベクターを用いた遺伝子治療薬と同様の水準となります。

加えて、Sareptaは非歩行患者への治療再開に向けた新たな免疫抑制プロトコルの策定に取り組んでいます。専門委員会を設置し、sirolimusを含む予防的な免疫抑制レジメンを検討。これをもとに新たな治験コホート(ENDEAVOR試験のCohort 8)での検証を目指しており、FDAとの協議を進めている段階です。

約500人の削減を含む大規模なリストラ

安全性対応と並行して、Sareptaは財務体質の改善と将来の事業安定を見据えた大規模な組織再編に着手しました。約500人、全従業員の36%にあたる人員削減を行い、2026年から年間1億2千万ドル相当の人件費削減を見込んでいます。

さらに、パイプラインの見直しにより、開発の優先順位を再定義。人件費以外でも3億ドル規模の経費削減を見込んでおり、合計で年間約4億ドルのコスト圧縮が期待されています。これらの対策により、2027年に到来する転換社債の償還に備えた資金確保と、長期的な収益体制の強化を図っています。

このような動きは、ELEVIDYSを含む既存のDMDポートフォリオの収益が安定していることに支えられています。2025年第2四半期の売上は5億1,300万ドルに達し、そのうちELEVIDYSが2億8,200万ドル、RNAベースのPMO製品が2億3,100万ドルを占めました。

siRNA技術への移行と中止された遺伝子治療プログラム

これまでSareptaは、主に遺伝子治療を中心としたパイプラインを推進してきましたが、今後はより持続可能性の高いsiRNA技術へと開発方針を転換します。siRNAは、慢性疾患に対する継続的な投与が可能であり、安定した収益源として期待されています。

具体的な開発品目としては以下が挙げられます。

  • facioscapulohumeral muscular dystrophy(SRP-1001)
  • myotonic dystrophy type 1(SRP-1003)
  • spinocerebellar ataxia type 2(SRP-1004)
  • idiopathic pulmonary fibrosis
  • Huntington’s disease

この戦略転換により、これまで進めていたLGMD(肢帯型筋ジストロフィー)関連の遺伝子治療プログラムの多くは凍結されることとなりました。ただし、LGMD2E型を対象としたSRP-9003については、年内にBLA(Biologics License Application)を提出する計画です。今後は、資金的な支援や共同開発を前提とした他社との提携も視野に入れているとされています。

まとめ:ELEVIDYSの副作用問題でSareptaが約500人を削減、siRNA開発へ軸足移行

  • ELEVIDYS投与後に肝不全による死亡が発生
  • FDAがラベルに黒枠警告を追加するよう要請
  • 非歩行患者への出荷が一時的に停止された
  • 約500人を削減し年間4億ドルのコスト削減を目指す
  • 財務安定化のため2027年の社債返済に備える
  • siRNA技術へパイプラインを重点的にシフト
  • LGMD向け遺伝子治療の多くは凍結または提携予定
  • SRP-9003のみはBLA提出を継続予定
  • 収益基盤はELEVIDYSとPMO製品が支えている
  • 中長期的な事業の持続可能性を重視した再構築策

出典・参照文献

Sarepta to axe 500 jobs after Elevidys liver failure deaths|Sarepta Therapeutics

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